
寒くなってくると、恋しくなる食べ物のひとつが「おでん」ですね。コートの襟を立て、手なんぞこすりながら、おでん屋の暖簾をくぐる時は、それだけでなんだかホッとしてしまいます。外は寒くても暖かい店に入ると、まずはビールをオーダーしたくなります。しかし、やはりおでんに合うのは燗酒だと思います。それも熱燗に限ります。そこでビールの後は、早々に「熱燗、お願い」とオーダーするわけです。
おでんは店によっても随分と味が違いますし、地方によってもそれぞれです。東京、大阪、そして福岡にも、その地方独特のおでんがあり、それぞれおいしいです。愛知・名古屋には、味噌仕立てのおでんがあり、京都は昆布だしが利いた薄味の店が多いです。筆者が自信を持っておすすめできるおでん店は、京都の「蛸長」と、松山の「赤丹」です。お値段もそれなりで、食べて飲んで最低でも一人5000円程度にはなります。しかし、それは当然といえば当然。食材もいいものを使っていますし、仕込みに時間も手間もかけています。
最近は、おでんというとコンビニエンスストアの味しか知らない若者もいるようです。それは残念といいますか、不幸なことです。あろうことか、「こっちのコンビニよりあっちのコンビニのほうがおいしい」「いやいや、そっちのコンビニのほうがもっとおいしい」という論争まであるらしく、そこまでいくと筆者としても匙を投げてしまいます。

五十歩百歩というべきか、はたまた目くそ鼻くそを笑う、といっていいものか。それはともかく、コンビニにある食べもので、「これは食べてもいい」といえるものはほとんどありませんが、「絶対に食べないほうがいい」というものはたくさんあります。その筆頭がおでんです。そもそも、1個100円程度で売っているおでんが、まともなものであるはずがないのですが、それすらわからない人が多いのには困ります。
「アミノ酸」に隠された危険
まかり間違っても、コンビニのおでんの汁は飲んではいけません。「○○産の昆布と○○産のかつおだしを使用」などと謳ってはいますが、それらはほんの申し訳程度しか使っておらず、代わりに化学調味料が大量に入れられています。
「化学調味料不使用のおでんしか食べないから大丈夫」などと言っている人は、実情をご存じないだけです。化学調味料を使っていない場合、その代わりにたんぱく加水分解物が使われています。成分欄には「アミノ酸」と表記されるため、なんだか良いもののように思うかもしれませんが、とんでもありません。