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町田徹「見たくない日本的現実」

欧州各国と中国、急速に「親密化」 EPA交渉でもたつく日本の脅威に

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統括閣僚不在で、まとまらない日本


 しかし、気掛かりでならないこともある。予想に反して、ブリュッセルで10月26日から始まったEUとの経済連携協定(EPA)交渉が難航しているというのだ。

 このEPAは、EU側が東日本大震災を機に復興を支援する狙いから、11年5月の日EU定期首脳協議で交渉開始を提案したものだ。そして、安倍首相が今年5月、来日したトゥスクEU大統領、ユンケル欧州委員長と会談し、今年中の合意を目指すとした共同声明も採択した。先のTPP交渉の大筋合意を受けて、日、EUのEPA交渉も大きく前進するものと期待されていた。

 日本が現行10%の自動車関税、現行14%の電子機器関税など工業製品に対する関税の早期撤廃を求めていることに対し、EUは柔軟とされる。また、TPPで日本が関税などの早期撤廃に応じたワイン、乳製品、加工肉などの製品は、EUからすると日本向けの輸出でシェアを奪われかねないものばかりで、日EUのEPAの早期合意を目指すインセンティブになっているという。

 それにもかかわらず、交渉が難航している原因は、日本が交渉の司令塔を欠いていることにある。TPPでは甘利明・経済再生担当大臣が交渉団を統括して各省庁をひとつにまとめたが、EUとの交渉ではそうした司令塔が不在だ。農林水産分野を中心に市場開放に抵抗する省庁が多く、EUを辟易させていると聞く。

 日本は、早急に交渉を統括する閣僚を決めたうえで、関税だけでなく、非関税障壁でもEUの関心事に誠意をもって臨む必要がある。さもないと、西欧諸国への攻勢を強める中国に対抗する手段を失い、みすみす大きなビジネスチャンスを逃すことになるだろう。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)

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