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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

TPP、日本の経済メリット10兆円 企業・医療・農業に大きな恩恵 規制改革も促進

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 医療の分野でも、直接的な打撃を受けることはないかもしれないが、今も特定の治療方法に限って例外的に認められている、混合診療が広がる可能性がある。

 混合診療とは、保険診療と保険外診療を併用し、医療費に健康保険で賄われている分と賄われていない分が混在することを認めることである。混合診療が認められると保険外の治療が増えるため、保険外診療ができる都市部の大病院などに患者が集まり、町の開業医などが打撃を受ける可能性がある。

 以上の通り、TPPはその直接的な効果への期待よりも、合意によりいろいろな日本固有の規制に改革圧力がかかる、というところに大きな期待が寄せられている。

 なお、TPPの直接的な経済効果は政府の試算によれば約3兆円と報じられているが、上記に挙げたような間接的な経済メリットも含めると、その総額は約10兆円との試算結果もある。

経済連携協定の遅れを挽回


 安倍政権の成長戦略は、端的にいえば「日本をビジネスがしやすい国にする」ということである。昔から日本には「産業の六重苦」があるといわれている。六重苦のうち、TPPに関係するものに、経済連携協定の遅れ、労働規制の厳しさ、エネルギーコストが高いことが挙げられる。

 署名済みのものだけカウントすると、日本は主要国の中で経済連携協定の締結が最も進んでいない国となる。しかし、多数の国が参加するTPPに合意できれば、経済連携協定の遅れは大きく巻き返せることになる。

 労働規制の厳しさも、TPPでビジネス環境もある程度統一されれば進む可能性がある。エネルギーに関しても、資源がある国と経済連携を組んで、できるだけ資源を安く調達するのが喫緊の課題であり、TPP発効がカギを握る。

 さらに、TPPが実際に発効に至れば、チリなどの資源国からの資源調達が容易になる。新たにシェールガス開発に取り組んでいるカナダとも日本の商社が合同で開発しやすくなるはずである。

 政府の描いている青写真は、アジア太平洋地域において包括的な経済連携の強化を目指す米州自由貿易地域(FTAA)や、日中韓印豪NZの6カ国でつくる東アジア地域包括的経済連携(RCEP)なども含め、世界全体で経済連携を組むということであろう。
(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト)

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