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“中国共産党を手玉にとった日本人”を描いたノンフィクション『大班』から中国を学ぶ

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 つまり、食べ物で祝を“手なずけた”のである。料理の腕前がかなりのものだった千住は、祝だけでなく祝の夫人にも料理を振る舞う。相手の家に入り浸り、料理を食べる仲になれば、信頼関係はそう簡単には崩れない。

■現地で生き残るために必要不可欠なパートナー

 この関係は千住が「地下ビジネス」を手がけるときのみならず、さまざまな局面で恩恵をもたらす。

 例えば、人事権を持たされた中国人が、「結婚しても苗字を変えない」という風習を悪用して、自分の家族や親族を、身分を隠して入社させ、日本企業を乗っ取ることがある。

 あるとき千住は、勤務先である部品専門メーカーの社内に異変を察知。帳簿、組織図、全従業員の履歴書を片っぱしからチェックし、その会社が乗っ取られかけていることに気づく。日本企業を乗っ取る際の悪質な幇の手口を祝から入念にレクチャーされていたおかげで、この危機を脱することができたのだ。

 外国でビジネスを成功させるには、その国特有の文化や価値観を知る必要があるが、競争の場でもある以上、本当のことまで教えてくれる人はそういない。この『大班』で千住が実践している関係の築き方は海外でビジネスを行う人にとって参考になるはずだ。

 「あとがき」によれば、加藤氏は長年中国人と付き合うなかで「中国人には3種類の人種(台湾人、香港人、大陸人)がいること」に気づき、特に大陸人のメンタリティは日本人にとって理解しがたいという思いが募っていったという。だが1990年代のある年の秋、千住のモデルとなる人物と出会ったことで、「中国人の心をわしづかみにし、なおかつ畏敬の念を抱かせる日本人」がいたことに驚き、取材を開始。本作執筆に至ったと書いている。

 中国激動の25年の裏側を、一人の日本人を通して抉りきった本作。読み終わったとき、あなたが持っている中国や中国人への印象は大きく変わっているかもしれない。そのくらい奥深く描かれている一冊だ。
(新刊JP編集部)

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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

BusinessJournal編集部

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