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小笠原泰「生き残るためには急速に変わらざるを得ない企業」

東芝、歴代3社長を提訴 内向きな名声レースの末路 常識離れした「東芝の常識」

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授
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 存在しない利益を上積みして、税金まで払うのである。米国のように株価を操作して一部の幹部が利益を得るというわけでもない。財テクで大きな損失を生んでそれを隠し通さなければならなかったオリンパスのような状況でもない。株主代表訴訟という大きなリスクがあるなかで、このような不正行為を継続することの合理性は外部者にはまったく理解できない。

東芝のため」

 ひとつ考えられるとすれば、業績が低迷していた東芝を立て直した西田氏が、土光氏以来の経団連会長職就任を社長時代から視野に入れていた可能性であろうか。企業業績が良いことは、経団連の会長職就任にとって重要である。東芝は業績が良くないといけなかったのである。実際に第三者委員会の調査によれば、西田氏は経団連副会長就任前の08年に、出身母体であるパソコン事業において50億円の利益水増し圧力をかけている。

 あいにく09年の社長交代時期に、サブプライム・ローンによる金融危機により東芝は赤字決算に転落し、業績悪化の引責という名目で会長職に退くが、経団連の御手洗冨士夫会長が交代するタイミングが10年にめぐってきたという意味では、東芝社長退任・会長就任はむしろ好都合であったといえよう。そして、波に乗る原子力畑の佐々木氏を後任社長に据えたのは、パソコン事業の限界が見えた中で、東芝の業績回復にとっては望ましかった。ゆえに、当初両氏の関係は険悪なものではなかったといわれている。しかし、西田氏の経団連会長就任は、東芝の岡村正元社長が日本商工会議所会頭を務めていたために実現しなかったとされている。

 その後も東芝は不正会計を続けた。西田氏は13年に経団連副会長を退任し、佐々木氏が同職に就任していることからみるに、佐々木氏も14年の経団連会長就任を視野に入れていたかもしれない。両氏とも目指すところは同じで、企業業績を良くみせるために社内の不正会計を続けたのではないか。同床異夢ともいえるが、このことが両氏を犬猿の仲にさせたのかもしれない。いずれにしても、日本の組織における帰属意識の強さを考えると、両氏は自身が経団連会長になることは「東芝のため」と思っていたことは、あながち嘘ではあるまい。

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