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小笠原泰「生き残るためには急速に変わらざるを得ない企業」

東芝、歴代3社長を提訴 内向きな名声レースの末路 常識離れした「東芝の常識」

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授
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内向きな名声レース

 しかし、ここでひとつ疑問に思うのは、佐々木氏の社長退任時に西田氏が相談役にならず会長職を続け、彼の子飼いともいわれる調達部門の田中氏を社長に据えたことである。10年の経団連会長レースに敗れた西田氏が、通例であれば佐々木氏が会長になるのが普通であるところを、わざわざ副会長職を新設して佐々木氏を就任させてまで、なぜ会長職にとどまったのかは定かではない。佐々木氏が気に入らないから居残った、というだけでは説明がつかない。当時すでに委員会設置会社であった東芝の指名委員会委員の推挙だったと西田氏は言ったそうだが、西田氏が東芝内規である会長職の定年70歳まであと一年を残すだけであるのに、副会長職を新設してまで会長職に居残るのも奇妙である。

 実際に、内規に従って14年6月に相談役に退くが、奇しくも同年春に経団連会長は榊原定征東レ会長に内定している。一縷の望みを託した経団連会長レースは終わったということかもしれない。西田氏は会長退任に当たり、その後任に副会長の佐々木氏ではなく社長経験のない室町正志氏(現社長)を会長に指名している。これは、確執を公言していた佐々木氏の次期経団連会長就任への道を断つためであったのであろうか。いずれにしても、今回の一件で、しばらく東芝出身の経団連会長の出現の可能性は消えた。

 たとえ東芝を思ってのことであったとしても、歴代経営陣が東芝という優等生会社の経営を忘れ、内向きな名声レースに走ったゆえに起こったのが不正会計であったのではないか。

 次稿では、このような馬鹿げたことが、一部の人間によってではなく組織として起こるのはなぜなのかを考察してみたい。
(文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授)

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