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宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」

欧州で大量余剰のインフルエンザワクチン、日本が大量購入で853億円分の税金を無駄

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

 しかし、ワクチンが日本に届き始めた頃には、情勢が大きく変わっていました。大半の国民が、このインフルエンザは大騒ぎするような流行ではないことに気づいていたのです。その結果、厚労省がいくらワクチン接種を呼びかけても受ける人はほとんどいなくなり、853億円分ものワクチンが無駄になってしまいました。一方、ワクチンを製造した製薬会社2社は巨額の利益を得ました。

欧州で広まるWHOと巨大製薬会社の癒着批判

 日本では853億円分のワクチンが無駄になっても「危機管理上必要だった」と釈明すれば、メディアも国民もうるさいことを言いません。社会全体がインフルエンザをものすごい病気だと思い込んでいるので、大きなロスが生じるのも仕方がないのです。

 しかし欧州ではインフルエンザを過大に見る風潮はありませんから、WHOに煽られて無駄なワクチンやタミフルを大量購入する羽目になった各国政府は、その怒りの矛先をWHOに向け、パンデミック(世界的大流行)になると大誤報を流した理由を説明してほしいと迫りました。

 また欧州のメディアは、矛先をWHOのインフルエンザ専門家グループと巨大製薬会社の癒着に向けました。彼らが問題にしたのは以下の5点です。

(1)WHOは、なぜリスクを誇張したのか?
(2)WHOは、なぜ各国にワクチンの備蓄を求めたのか?
(3)各国の購入費はすべて巨大製薬会社(ロシュとグラクソ・スミスクライン)に流れたのではないか?
(4)WHOのインフルエンザ専門家グループは巨大製薬会社から利益供与を受け、それを隠していたのではないか?
(5)WHOはワクチンの需要を高めるために人々を怖がらせ続けたのではないか?

 取材が進むにつれ、ロシュとグラクソ・スミスクラインの2社がインフルエンザワクチンにより得た利益は、75~100億ドル(9000億~1兆2000億円)に上ることが判明しました。

 その背後に、WHO内部で最も大きな影響力を持つ“インフルエンザの帝王”アルバート・オスターハウス博士(エラスムス大学ロッテルダム教授)および盟友であるフレデリック・ヘイデン博士が、巨大製薬会社からさまざまな利益供与を受けていた実態が明らかになりました。

 欧州の主要メディアがWHOのボス学者たちと製薬会社の腐れ縁を書き立てたことで、欧州でのWHOの評判は大きく低下しました。その結果、巨大製薬会社のワクチンビジネスにも厳しい目が向けられるようになりました。

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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