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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

完成前の新築マンションを買うなど愚の骨頂である 欠陥物件が蔓延する本質的元凶

文=牧野知弘/オラガHSC代表取締役

 大手デベロッパーが建設する自社所有のビルは、ほとんどすべて設計と施工業者を分離して発注しているはずだ。自社が運用するビルであるから、ゼネコンに勝手にやらせるわけにはいかないからだ。

 この「青田売り」の廃止と「設計・施工の分離発注」を行い、マンションはすべて竣工後の販売にすれば、おそらくこの種の事件はかなり減少するはずだ。

買わないという選択

 ただし、顧客の側にも覚悟しておくべきことがある。デベロッパー側は建物竣工まで資金が入ってこないので、期間中の金利、工事等のやり直しを含む建設費用のアップ分を含め、すべての費用が最終価格に上乗せされてしまうことだ。また、タワーマンションのような大型物件は資金繰りに余裕のある大手デベロッパーしか供給ができなくなり、結果的にマーケットは大手による寡占化が一気に進むかもしれない。

 しかし、多くの人にとっては一生に一度ないし二度の「大きな決断」で買うマンション。よく見極めて自身の目でしっかりと確かめてじっくり選ぶ、これでよいのではないだろうか。その分の価格アップは、今回のような事件を二度とおこさせないための保険料であると考えることはできないだろうか。高いと思えば買わない選択だってあるのだ。日本には今空き家が820万戸もあるのだから。
(文=牧野知弘/オラガHSC代表取締役)

●牧野知弘(まきの・ともひろ)
オラガHSC代表取締役。金融・経営コンサルティング、不動産運用から証券化まで、幅広いキャリアを持つ。 また、三井ガーデンホテルにおいてホテルの企画・運営にも関わり、経営改善、リノベーション事業、コスト削減等を実践。ホテル事業を不動産運用の一環と位置付け、「不動産の中で最も運用の難しい事業のひとつ」であるホテル事業を、その根本から見直し、複眼的視点でクライアントの悩みに応える。

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