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NHK包囲行動の様子
NHKといえば、『クローズアップ現代』でやらせ問題が発覚し、これに関してBPO(放送倫理・番組向上機構)が11月6日に意見書を公表して話題になったばかり。やらせについて批判されたのは当然としても、意見書の最大のポイントは、自民党がNHK関係者を呼んで事情聴取したことは「政権党による圧力そのもの」、高市早苗総務大臣がNHKに対して「厳重注意」したことも問題視された。
報道弾圧としては、『報道ステーション』(テレビ朝日系)のコメンテーターであった古賀茂明氏が、3月27日の生放送で「官邸から圧力をかけられた」と告白。また、6月25日の自民党勉強会で、大西英男衆院議員が「マスコミを懲らしめる」との発言をして批判を浴びている。
このような経緯もあるので、政府や自民党が報道機関に対して圧力をかけていることを批判する貴重な意見書といえるだろう。
さらに意見書は「干渉や圧力に対する毅然とした姿勢と矜持を堅持できなければ、放送の自由も自律も浸食され、やがては失われる」とエールを送った。

開き直る総務大臣
ところが、圧力をかけた側の政府・自民党には反省の色が見られず、圧力を受けた側のNHKも抵抗する気配すらない。
BPOから批判された高市総務大臣は、「放送法を所管する立場から、必要な対応を行った」という趣旨の弁を述べており、反省どころか開き直っている。
一方のNHKは、やらせ疑惑については謝罪したものの、BPO意見書で指摘された「干渉や圧力に対する毅然とした姿勢と矜持」はまったく示しておらず、公共放送ではなく“アベチャンネル”として機能しているのが実態だ。だからこそ「毅然とした姿勢と矜持を示せ」と一般市民がNHKまで押し掛けて訴えたことに価値がある。
放送センター西門前で始まったリレートークでは、東京狛江市から駆け付けた女性市民がマイクを握り、こう述べた。
「(報道に関しては)NHKは政府の広報チャンネル。でも、人のいい田舎のお爺ちゃん、お婆ちゃんは、報道が事実だと受けてしまう」
素朴な表現だが、実は重大なポイントである。政府や与党自民党の応援といえば、読売新聞や産経新聞、その系列のテレビ局も同じだが、報道が信用できなければ御用新聞を購読しなければいいし、テレビを見なければいい。また、民放のテレビ番組には企業がスポンサーとしてカネを払っており、視聴者の懐は痛まない。