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熊谷修「間違いだらけの健康づくり」

今のその生活が「不幸&不健康な老後」をもたらす!楽しい時間がない、人を愛せない…

文=熊谷修/人間総合科学大学教授
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今のその生活が「不幸&不健康な老後」をもたらす!楽しい時間がない、人を愛せない…の画像1「Thinkstock」より

 本連載前回記事では、超高齢社会の健康づくりの目標は、病気の予防やコントロールではなく、総合的な生活運営能力の維持増進であることを解説した。今回は、この生活運営能力に関する理解を深める機会にしたい。

 シニア期の生活運営能力のレベルは、若年期からのライフスタイルが如実に反映する。この能力は高次生活機能と呼ばれ、「手段的自立」「知的能動性」「社会的役割」の3つの独立した能力で構成されている。

手段的自立

 まず最もベーシックな能力である「手段的自立」は交通機関を用いた外出、あるいは金銭管理などといった生活を遂行する能力を指し、家の中の整理整頓や掃除などの家事、家政も含まれる。いわば適切な手段を取捨選択し、自身の生活をマネジメントする能力とイメージするとよい。

 最近、白物家電の中で掃除機が話題を集めることが多い。大手量販店は各種掃除機の性能比較のスペースを広げており、そこにはシニアの客足が絶えないという。特にロボット掃除機や軽い充電式ハンディータイプのものが人気という。これは、シニアの「手段的自立」の能力の加齢による衰えをサポートする機器として有用のためだ。アメリカ航空宇宙局(NASA)関連の外資系ロボットベンチャー企業が切り開いたロボット掃除機市場であるが、日本をはじめ超高齢社会の健康問題の本質を見据えており、極めてスマートなビジネス戦略といっていい。これがシニアマーケットのビジネスのツボである。

知的能動性

 つぎの「知的能動性」の能力とは、情報を探索し、集めた情報から新たなものを創り出し、心地よい時間を創り出す能力である。余暇活動に結び付けてゆく一連の知的な活動能力ともいえる。最終的には人間としての魅力や気品を醸し出す能力である。

 知的能動性の能力が高いか低いかは、顔の表情や言動によく表れる。このレベルの低いシニアは言動に批判的センテンスが目立つようになる。具体的な例として「人の陰口を言う」「会話の話題が限られている」、あるいは「人の負の部分に目がゆく」などの振る舞い行動として表れる。

 そして、普段の生活の中で楽しい時間が少なくなるため、表情は硬くなりぶっきらぼうになる。地域住民の4割はシニアという地域は地方に行けばザラであるが、知的能動性の能力レベルが高いシニアが多い地域は決して暗くならない。

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

1956年宮崎県生まれ。人間総合科学大学教授。学術博士。1979年東京農業大学卒業。地域住民の生活習慣病予防対策の研究・実践活動を経て、高齢社会の健康施策の開発のため東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)へ。わが国最初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表し、シニアの栄養改善の科学的意義を解明。介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者である。東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、介護予防市町村モデル事業支援委員会委員を歴任

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