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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

東芝粉飾、調査報告書に重大な疑惑 意図的に室町社長への追及せず、当事者は無罪放免

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たった3億円なのか、刑事事件ではないのか

 この3億円の損害賠償を5人でどう分けるか不明だが、単純に割り算すれば、1人当たり6000万円である。約7年間で2248億円を粉飾していた損害賠償額としては、ゴミのような金額である。

 調査委員会の見解(1)にあるように、この粉飾会計は東芝の信頼を失墜させ、信用を著しく毀損した。それだけでなく、その粉飾によって株価は不当な値付けがなされ、また銀行からの融資に対する与信判断にも大きな影響を与えたはずである。これは詐欺罪に当たるのではないか。だとすれば、民事ではなく、刑事事件として立件すべき問題ではないのか。

 たとえ民事に限定しても、到底3億円で済むような話ではないだろう。見解(4)の回収可能性を考えたとしても、彼ら5人は辞任したのであり、懲戒解雇されたわけではない。したがって、相応の役員報酬や退職金を手に入れたはずである。少なくともその役員報酬および退職金の全額と、現在保有している資産のほとんどを差し出させるくらいの損害賠償額であってしかるべきだ。

5人以外は無罪放免か

 調査委員会では、証拠がないため5人以外の法的責任を取ることができないと結論している。しかし、少なくとも第三者委員会の報告書では、粉飾会計に関わったのは14人いることになっている。それなのに、証拠がなく法的責任を問うことができないとはどういうことなのか。現時点で証拠が不十分なら、探し出すべきである。もっと徹底的に追求するべきである。安易に幕を引くべきではない。メンバーを変えて、第2次調査委員会を設置し、調査は続行すべきである。

なぜ室町社長への言及がないのか

 この調査報告書のもっとも不可解な点は、室町社長への言及が一切ないことである。粉飾会計がまさに行われていた時に、室町氏は執行役専務(06年6月~)、取締役副社長(08年6月~)、常任顧問(12年6月~)、取締役(13年6月~)、取締役会長兼取締役会議長(14年6月~)などの要職にあった。

 それなのに、調査報告書には名前すら出てこない。第三者委員会の報告書で名前が上がった14人や、対象となった取締役や執行役員98人のように、「調査したけれど証拠が見つからなかった」のではなく、調査すらしなかったとしか思えない。

 前出日経新聞には、「室町社長が訴訟対象に入れば新体制下での経営再建に支障が出る。報告書は妥当な内容だ」という東芝幹部のコメントが掲載されているが、「バカなことを言うな」と言いたい。もし、調査委員会にそのような思惑があったのだとしたら、調査自体が無効である。

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