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大西宏「コア・コンセプトのビジネス学」

テレビもDVDもツタヤも、「終わり」始めている 定額動画サービスの脅威

文=大西宏/ビジネスラボ代表取締役

 あのアップルの成長を支えてきた楽曲ダウンロードサービス「iTunes」ですら、定額ストリーミングの「Spotyfi(スポティファイ)」が登場したことで顧客を奪われ、まったく売り上げが伸びなくなってしまっていました。そして、ついにアップルも定額聴き放題の「Apple Music」に軸足を移さざるを得なくなったのです。

 定額聴き放題、定額見放題のサービスは、リアルな店舗でDVDやCDを貸し出すレンタル・ビジネスにとっては深刻な脅威となってきます。

 米国では、ネットフリックスの定額制DVDレンタル、またその後にネットフリックスが始めた定額ストリーミングのあおりを受けて、かつては9000店以上の店舗を持ち、一時は日本にも進出していたDVDレンタルのブロックバスターが11年には破産申請し、買収された後の13年には貸出店舗すべての閉鎖に追いこまれました。

 日本最大のレンタルビデオチェーン、TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)も、ネットでの定額動画配信「TSUTAYA TV」が成功するのかが今後の大きな経営課題になってきています。

 一般社団法人日本映像ソフト協会のデータによると、動画配信の影響を受ける以前からレンタルDVD市場の縮小が始まり、07年には3604億円あったレンタルDVD市場もその後は減少の一途で、14年にはおよそその6割の2013億円にまで縮小してしまっています。DVD業界も、DVDやブルーレイの販売から動画配信での販売や定額動画配信から受けるライセンス料に軸足が移っていきます。

 ユーチューブやニコニコ動画が、人びとからテレビを見る時間を減らしたように、定額動画配信サービスの利用者が増えれば、さらにテレビ番組を見る時間は削られていきます。音楽や動画だけでなく、プレイステーションが好調なソニーが打ち出してきたのが「プレイステーション・ナウ」の定額遊び放題のサービスです。今年1月から北米からスタートし、国内でも9月からベータ版のサービスを開始しました。クラウドサーバ上のゲームを、ダウンロードすることなくストリーミングで楽しめます。ソニーは、競合相手であるサムスンの「Samsung Smart TV」向けにも米国とカナダでこのサービスを提供しています。

 ネットフリックスの契約者数の伸びを見ると、あっという間に日本市場をも飲み込みそうに感じてしまいます。しかし、ネットフリックスもアマゾンも乗り越えなければならない3つの壁があります。

 それは「番組は無料」という日本の消費者の意識の壁、すでにある日本のサービスとの競合の壁、そして番組を提供するテレビ局との交渉力の壁です。

 次稿では、続々と日本市場へ進出する海外の定額ストリーミングサービスが、これら3つの壁を乗り越えて、日本の競合サービスやテレビ局を脅かす存在になるのかについて検証していきます。
(文=大西宏/ビジネスラボ代表取締役)

※11月23日の本記事掲載時点にて、カルチュア・コンビニエンス・クラブ発表の2011年度3月期短期決算に基づき、「TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)も、レンタル事業ではフランチャイズ料収入ではまだ利益を出していますが、直営店は赤字に陥っており」と記載しておりました。CCCは11年にMBOを実施し非上場化しており、それ以降の事業セグメント別収支は非公開となっておりますが、CCCより「現在、直営店は黒字です」との指摘がありましたので、「直営店は赤字に陥っており」の部分を削除いたしました。

大西宏/ビジネスラボ代表取締役

大西宏/ビジネスラボ代表取締役

ビジネスラボ代表取締役。自称「マーケティングの棟梁」

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