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熟成肉は危険!死に至る恐れ 有害カビで発がん、神経障害も

文=豊田美里/管理栄養士、フードコーディネーター

 さらに、加工して一枚肉のように見せている成型肉などは、内部まで菌が行き渡る可能性が高く、食中毒のリスクは高いといえるでしょう。こうなると、もはや熟成ではなく「腐敗」です。

 2000年代初頭のBSE騒動や、焼肉店で死者を出した生肉による食中毒事件などをみると、食肉に危険が指摘されると世間に大きな混乱が生じます。それほど現在の日本の食に肉は欠かせないものとなっているのです。

 そして昨今の熟成肉の大ブーム。多くの飲食店がこぞって熟成肉を掲げたメニューを打ち出していますが、ひとたび食中毒が発生しようものなら、途端に「熟成肉を食べてはいけない」との機運が高まり、精肉業界や外食産業に大打撃を与えるでしょう。

 実は従来、経産牛(出産経験のある牛)は固くて食肉には適さないとして加工品などに利用されていましたが、熟成によって柔らかくなることがわかり、最近は食肉用として流通し始めています。食肉用として育てられた牛よりも安いため、経産牛を熟成させて提供する飲食店があるようです。

 経産牛を食べること自体は何も問題ありませんが、熟成肉ブームに乗って稚拙な熟成方法で粗悪な品質の肉を客に提供する悪質な店があると指摘されています。

 食中毒は、菌の種類によっては死を招くこともあります。死に至らないまでも、発熱や激しい腹痛、嘔吐、下痢などの症状が長期間にわたって続くことも珍しくありません。カンピロバクター菌による食中毒では、回復した後にギラン・バレー症候群を発症することあります。ギラン・バレー症候群とは、筋肉を動かす運動神経が侵されて手足に力が入らなくなる病気です。通常は3~6カ月で自然に治りますが、約2割は後遺症として歩行困難になるといわれています。

 極端な話、冷蔵庫で数日寝かせておくだけでも「熟成させた」といえなくもありません。それぞれの店舗で、どのように熟成させているのかは違うため、注文する前には確認することをお勧めします。ブームとはいえ、熟成肉の看板に踊らされて健康を害するようなことがないよう、お店と料理は慎重に選びましょう。
(文=豊田美里/管理栄養士、フードコーディネーター)

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