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垣田達哉「もうダマされない」

ハムやソーセージ等が原因で年3万人死亡…赤肉・加工肉のがんリスクは「確実」

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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「男性・女性のいずれにおいても、加工肉摂取による結腸・直腸がんのリスク上昇は見られませんでした。ただし、加工肉摂取量をもう少し細かく10グループに分けたところ、男性において最も摂取量の多い群で、結腸がんリスクの上昇が見られました(摂取量の少ない下位10%の群に比べ、上位10%の群では発生率が1.37倍)。つまり、日本人が一般的に食べるレベルでは、はっきりとしたリスクにはならないけれども、通常よりもはるかに多量に摂取する一部の男性では、結腸がん発生リスクを上げる可能性は否定できません」

 これは「日本人の男性の10%くらいは、加工肉を食べすぎているので、結腸がんの発生リスクが高い可能性がある」と言っていることに等しい。今回のIARCの発表を否定しているどころか、肯定している調査結果といえるのではないだろうか。

「赤肉による大腸がんリスク上昇のメカニズムは、動物性脂肪の消化における二次胆汁酸、ヘム鉄による酸化作用、内因性ニトロソ化合物の腸内における生成、調理の過程で生成される焦げた部分に含まれるヘテロサイクリックアミン(発がん物質)等の作用が指摘されてきました。これらの作用は、牛・豚肉といった赤肉に限らず、肉類全体の摂取を通してももたらされる共通のものとして捉えることができます。今回の結果では、赤肉摂取による直接的な大腸がん発生リスク上昇は男性において観察されませんでしたが、牛肉・豚肉は肉摂取量全体の85%程度を占めることから、男性でも赤肉摂取による結腸がんリスク上昇の可能性は否定できないでしょう。つまり、肉類全体の摂取量と結腸がんリスク上昇の関連が見られる以上は、牛肉や豚肉も含めて食べ過ぎないようにする必要があると考えられます」

 ここでは、赤肉や加工肉だけでなく「肉類全体の摂取量と結腸がんリスク上昇の関連が見られる」と指摘している。赤肉や加工肉だけでなく、肉類すべてを食べすぎないようにと警告しているのだ。

「2007年に、世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による報告書『食物・栄養・身体活動とがん予防』が、10年ぶりに改訂されました。その中で、世界中で行われた研究結果を取りまとめ、赤肉(獣肉:牛・豚・羊など)・加工肉(ハム・ソーセージ)摂取は大腸がんに対して『確実なリスク』と評価しています。もともと肉類の摂取量が欧米より少ない日本においても同様にリスクがあるのかは、まだ十分にわかっていませんでした。

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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