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垣田達哉「もうダマされない」

ハムやソーセージ等が原因で年3万人死亡…赤肉・加工肉のがんリスクは「確実」

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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 平均的には欧米より依然少ないとはいえ、アジアでの肉類の摂取量は増えています。また、日本でも大腸がんの発生率は、戦後、欧米並みに増加しました。報告書では、赤肉の摂取を週に500グラム未満とするよう推奨しています。今回の研究で赤肉を最も多く摂取する群は、比較可能な状態に換算するとおよそ週に400~450グラム以上でした。病気になる前の食生活で牛や豚といった肉類をたくさん摂取していた人々が、その後の大腸がん発生リスクが高いことが観察されたことは、私たち日本人の食生活での肉類の過剰な摂取に対しては、改めて警鐘を鳴らすものと言えます。
(生重量を加熱後の重量に換算。摂取量推定値については、下記*もご参照ください)

*摂取量の推定値について:この研究で用いられている食物摂取頻度アンケート調査は、摂取の相対的なランキングには適していますが、それだけで実際の摂取量を正確に推定するのは難しいのが実情です。また、年齢や時代・居住地域などが限定された対象集団の値を、全ての日本人に当てはめることも適当とは言えません。ここで示す摂取量は、あくまでも参考値としてご理解ください。

 ここで紹介されている07年の報告書では「赤肉・加工肉の摂取は大腸がんのリスクを上げることが“確実”と判定されており、赤肉は調理後の重量で週500グラム以内、加工肉はできるだけ控えるように」と勧告している。赤肉と加工肉の大腸がんリスクは、以前から指摘されていたことなのだ。

死因につながる

 国立がん研究センターの追跡調査では、週400~450グラムの摂取量でもリスクがあることを示唆している。しかも調査対象は、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所管内に在住していた45~74才の約8万人である。

 肉類の摂取量が多いと思われる首都圏の都会に住む人や20~40代前半の人は、調査対象外である。13年の国民健康・栄養調査の赤肉・加工肉の摂取量が、1日当たり63グラム(赤肉50グラム、加工肉13グラム)というのは、あくまで平均値である。平均値以上摂取している人は相当数いることになる。日本人だから安心だということではなく、肉類を過剰摂取している人がいることは間違いなく、その人たちは要注意だと言っているのだ。

 IARCの疾病負担研究プロジェクトでは「喫煙に起因する全世界のがん死亡は年間100万人であったのに対し、アルコールは60万、大気汚染は20万、加工肉では3万4千人であった」としている。

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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