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垣田達哉「もうダマされない」

ハムやソーセージ等が原因で年3万人死亡…赤肉・加工肉のがんリスクは「確実」

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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 つまり、加工肉の摂取が原因で死んだ人は、世界中で年間3万人以上いるということだ。加工肉のリスクが飲酒より小さいとはいえ、リスクがないわけでもなく死因につながることがあると言っている。自分自身の食生活を振り返って、肉類を多く摂取していないかどうかを確認する必要があるということだ。

「飲酒、肥満は大腸がんのリスクを増大させ、運動はリスクを低下させることが確実と評価されています。これらの生活習慣に気を配ることが、肉の過剰摂取を避けることと合わせて、大腸がんの予防には大切です」

 国立がん研究センターの結論は、日本人であっても「過剰摂取を避ける」ということだ。

 国立がん研究センターは「赤肉は、たんぱく質やビタミンB、鉄、亜鉛など私たちの健康維持に有用な成分もたくさん含んでいるが、飽和脂肪酸も含まれているので、摂り過ぎは動脈硬化からくる心筋梗塞のリスクが高くなり、少なければ脳卒中のリスクを高める。日本は、心筋梗塞より脳卒中の罹患率が高いから、総合的にみても、今回の評価を受けて極端に量を制限する必要性はない」としている。

自身や家族の食生活を改めて考え直してみる

 しかし、これはあくまで一般論である。健康は、個人個人の食生活に大きく左右される。日本人の加工肉の1日当たりの摂取量は13グラムだ。ウィンナーソーセージは1本で16~20グラム、ハムでも1枚10~15グラムある。ということは、日本人の加工肉の平均摂取量は、ウィンナーソーセージを1日1本も食べていないということだ。ハムなら1日1枚が日本人の平均摂取量だ。
 
 毎朝、ウィンナーソーセージやハムを食べている人は、日本人の平均摂取量をかなり上回っている可能性がある。自分には当てはまらない摂取量で安全だと言われているかもしれない。それで安心して、今まで通りの食生活をしたのでは、せっかくの警鐘が生かされない。

 健康維持のための有用成分は、加工肉を食べなくても赤肉でも他の食材でも摂取することはできる。肉を食べたい人でも、赤肉よりリスクが高いと考えられる加工肉を食べないで、赤肉を食べれば有用成分も摂取でき、大腸がんのリスクも小さくなる。

「安全だ安全だ」という言葉を信用する人に限って、自分の食生活を顧みることをしない。こうした食に対する指摘は、安全かどうかということよりも、「自分や家族の食生活を改めて考え直してみる良い機会だ」と捉えるべきである。
(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

●参考文献
・国立がん研究センター「赤肉・加工肉のがんリスクについて」
・国立がん研究センター予防研究グループ「赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて」
・農林水産省「国際がん研究機関(IARC)によるレッドミート及び加工肉の発がん性分類評価について」

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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