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ここが肝だよ!テレビCM戦略

美容師が髪を喰いちぎる岐阜、セクシー美女の佐賀…地方PR動画が過激すぎる!

文=鷹野義昭/CM戦略アナリスト・マーケティングディレクター
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【刃物のまち「関市」PR動画】

 刃物製品出荷額で全国シェアNo.1の岐阜県関市のユニークなPR動画です。素手でニンジンを切ろうとする主婦、ガムテープで髭を抜く夫、髪を歯で喰いちぎる美容師、伸び放題の爪で握手会をするアイドル、拳でウェディングケーキを割る新郎新婦……。刃物がないゆえの奇妙な行動をとる人々の姿は衝撃的で、最後まで釘付けになってしまいます。

【佐賀トラベルサポート「どがんしたと?」】

 なかなか思い浮かばない県として話題にされがちな佐賀県。そんな佐賀県が、実にユニークな動画でインターナショナルに打って出ています。美女の美脚を匂わせるセクシーシーンから始まり、「あなたの知らない日本」という魅惑的なテロップ……。しかし、その正体はちょんまげ頭の男性だった。

※PR動画の解説は、「ぐろ~かるCM研究所」より抜粋

キーワードは「驚き」「明確なメッセージ」「親近感」「グローバル」

 さて、ここで取り上げたPR動画に共通することはなんでしょうか。ユニークで練りに練られたアイデアが、動画上で繊細に表現されている点が大きな決め手となっていることは間違いないでしょう。

「記憶に残り、話題づくりができるかどうか」。この点はバイラル・マーケティング(口コミで集客を図る手法)で、インターネットを中心に拡散につなげるための原点です。

 それに加え、「伝えたいことに一本筋が通っていること」。地域の特色について、懸命に語りかけようとする気持ちが、しっかりと伝わってきます。これは、地方自治体が発信元になっているからこそ、なし得るコミュニケーションでもあります。

 また通常のCMでは、CGなどを使うことが当たり前のようになっていますが、これらのPR動画はどことなくアナログチックで、手の届く親近感を抱かせます。個人的なPCやスマートフォンといった視聴環境における距離感の近さもあり、観る側の心に強く刺さる要因のひとつといえましょう。

 さらには、PR動画の映像が世界に通用するということ。ネット上では世界への発信が前提ですが、日本語のわからない外国人が、おおいた、関市、佐賀の各動画を観ても十分に笑えるものでしょう。小林市の素材は、さすがにオチは伝わらないでしょうが、西諸弁とフランス語の響きの酷似に驚くことは請け合いです。

 そして、決して大きくない日本の地方自治体が、ネット上の動画を通じて世界に目を向けて勝負をかけている姿は、日本人としても誇らしく応援したくなるものです。

鷹野義昭

鷹野義昭

株式会社テムズ代表取締役<CM戦略アナリスト・マーケティングディレクター>
1963年、長野県生まれ。大手広告代理店を経て、90年より現職。テレビCMを中心としたマーケティング戦略立案に携わり25年以上。1000素材を超すテレビCMの戦略策定・分析・広告効果測定の実績を持つ。
主な著書に『CM好感度NO.1だけどモノが売れない謎 ‐明日からテレビCMがもっと面白くなるマーケティング入門‐』(ビジネス社)などがある。近年では、秀逸なローカルCM・地方PR」動画を集めたサイト「ぐろ~かるCM研究所」の所長を務める。

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