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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

わざわざ足を運ぶ場所ではなくなった居酒屋に、あえて足を運ばせる方法を考えてみた

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio

 居酒屋チェーン「和民」などを展開するワタミが2015年4~6月期決算で純損益が15億円の赤字に沈むなど、居酒屋業界の苦戦が目立っており、「若者の居酒屋離れ」が指摘されるようになって久しい。

 “飲みニケーション”という言葉があるように、宴席での人とのかかわりが重視されてきた日本社会において、居酒屋がなぜこのような苦境に立たされているのか。また復調するにはどうしたらいいのか。立教大学経営学部教授の有馬賢治氏に話を聞いた。

「本来、居酒屋はお酒や料理以上に、同席した人物と時間を共有して日常ではできないさまざまな話をすることが目的とされてきました。しかし、現在では若者が飲酒を強要される機会が少なくなり、また若者自身もコスパ面からわざわざ出向く場所ではないという認識が広がったことが、居酒屋離れの大きな要因と考えられます」

 確かに居酒屋の客単価は平均すると2500円から3000円ほどと、若者にとっては決して安くはない金額だ。そして昨今、「アルハラ」という言葉が示すような職場の同僚と飲みに行くこと自体をストレスと感じる人が増えてきたことも無視できない点であろう。

「ある心理学者によると、お酒を飲んで本音で話せる人間関係を構築できない若者が増えているという話もあります。彼らの中には、人とのつながりはSNSなどで知り合った趣味の話が通じる相手とのオンライン上でのやり取りで十分と考えている人もおり、いわゆる『ウチ充』という家で過ごす時間を充実させたい層からしてみると、わざわざ足を運ぶほどの魅力を居酒屋には感じていないのです」

“チェーン居酒屋離れ”

 
 それでは、居酒屋側はどのような対応をすることで、かつての活気を取り戻すことができるのだろうか。

「私は“居酒屋離れ”というよりは、“チェーン居酒屋離れ”なのではないかと考えています。商品が画一的となり競合他社との差別化が困難となっている状況のことを“コモディティ化”といいますが、居酒屋業界はまさにこのコモディティ化が顕著となっており、どこのお店でも類似メニューが多く、特筆しておいしいわけではない。特に、チェーン店ではその傾向が強く、話題性を強く欲する若者の心をつかむことができていないのが現状です」

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