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片山修「ずたぶくろ経営論」

東芝とVW不正、国家レベルの問題に 独裁者専横と社内抗争が国益を損なう事態に発展

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 ヴィンターコーン体制下の急激な成長は、彼の経営方針を正当化した。一方で社員はヴィンターコーン氏の影にもおびえ、向き合えばまともに口もきけないほどだったといわれている。逆らえる人は、社内に誰もいなかった。まさに、VW帝国の“独裁者”だったのである。

 ワンマン経営者は、必ずしも珍しいことではない。強烈なリーダーシップを発揮するトップは、必ずといっていいほどその濃淡はあるものの、独裁的要素を備えている。ただし、その側面が裏目に出ると、組織は大いに混乱するのが通例だ。ワンマン経営の強烈なデメリットである。

社内抗争

 共通の人間的ドラマの3つめは、両社とも社内抗争が勃発したことだ。

 絶対的権力は、絶対的に腐敗する――というテーゼがあるが、腐敗は別として、両社は揃って勃発した“お家騒動”が、不正問題をより複雑化したといえる。東芝では、西田氏と同氏が後任社長に選んだ佐々木則夫氏の間に対立があった。

 西田氏は、後任に原子力事業に明るい佐々木氏を選んだ。しかし、“独裁者”西田氏に後を託された佐々木氏は、西田氏に対抗意識を燃やして常に強気の姿勢を崩さなかった。彼もまた、独裁的要素を濃く備えていた。「3日で120億円の営業利益改善」を求めたのは、その象徴である。

 売り上げと利益の拡大を図った西田氏に対し、佐々木氏は売り上げより利益重視の経営に舵を切る。経営方針の違いから、2人の間に溝が生まれたとされる。

 13年2月、私は佐々木氏から田中久雄氏への社長交代を発表する記者会見に出席していたが、正直、「これはどうなっているのか?」と唖然としたのを記憶している。というのは、社長が交代する場合、一般的に社長を退いて次に就くポストは会長だ。ところが、佐々木氏は予想に反して副会長に就いた。会長ポストがつかえている場合、事例としてまれにあるのでいいとしても、会長に就いたのが、佐々木氏との社長レースに敗れ東芝本体から離れていた現社長の室町正志氏だったのだ。

 VWは、ピエヒ氏とヴィンターコーン氏の間に対立が生じ“お家騒動”に発展した。これは、もとをたどればポルシェ氏の長男一族であるポルシェ家と、長女一族であるピエヒ家の確執に遡る。ともにVWの大株主である両家は、互いにライバル視して対立している。ピエヒ氏はヴィンターコーン体制において、米国事業の伸び悩みやVWブランドの収益力の低さに業を煮やしていたとされる。週刊誌上で「ヴィンターコーン氏とは距離を置いている」と発言して“宣戦布告”。ヴィンターコーン氏を降ろしにかかった。

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