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片山修「ずたぶくろ経営論」

東芝とVW不正、国家レベルの問題に 独裁者専横と社内抗争が国益を損なう事態に発展

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 ところが、誤算があった。ポルシェ家のヴォルフガング・ポルシェ氏が反対し、さらに両家に次ぐ大株主のニーダーザクセン州などは、ヴィンターコーン氏を支持したのだ。結果的にヴィンターコーン氏がCEOに留まり、ピエヒ氏は辞任に追い込まれた。

 目の上のコブがとれたヴィンターコーン氏はその後、正真正銘の“独裁者”となった。が、わずか5カ月後には今回の不正が発覚し、今度は自らが辞任に追い込まれた。いまやVWマネジメントには、ピエヒ氏に近い有力者が復権しつつあると報道されている。

 東芝、VWともに、社内抗争によるゴタゴタが、不正の間接的な原因となったことは否めない。

企業と国家の関係性


 東芝、VWは、ともに不正によって株主はじめユーザーをあざむき、市場の信頼を裏切った。だから、当然のことながら東芝の株価は不正が明るみに出る前の今年3月には500円台に乗せていたが、11月には300円を切った。VWも事件発覚前の約170ユーロが、11月には100ユーロを切った。

 冒頭に触れたように、日独両国はコーポレートガバナンスが欠如する巨大企業の不正事件をいかに処理するのか。両社の自浄能力もさることながら、まだまだ紆余曲折が予想されるなかで、両国の首相がどのような手を打つかが注目される。

 対応を誤れば、それこそ両国の景気動向にも影響する。また、下手に事件を長引かせれば、両国の国益を損ねる可能性さえある。安倍・メルケル両首脳の手腕が問われる所以である。

 企業と国家は今日、アンビバレンツな関係にある。国家の繁栄は、その国を支える産業あってこそと考えるならば、持ちつ持たれつの関係にある。確かに両者は、国内において持ちつ持たれつの関係にあるが、その一方、グローバルには、企業はより自由な事業活動を求めて、国家の枠組みからの離脱を試行する。いったい、国家は国外をも巻き込んだ不正事件をどう裁くのか。企業と国家の関係性を考えるうえでも注目されるのだ。
(文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家)

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