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突然、「お金を返してほしい」 身に覚えのない8千万円の借金…法人を襲った不可解な事件

文=山岸純/弁護士法人AVANCE LEGAL GROUP・パートナー弁護士
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偽造された可能性がある代表印

 奇妙なことに、この「設備債券」に「連帯保証人」として押印されている旧ひまわりの会の代表印とされる印影を、実際の代表印と比較し鑑定してみると、「異なる印鑑による印影の可能性がある」との判断がなされました。

 もちろん、「設備債券」が発行された12年前には別の代表印を使用していた可能性もあったため、念のため川崎市の法務局に保管してある旧ひまわりの会の各種申請書(保管期限ぎりぎりの6年前の書類)に押印してあった代表印と比較しましたが、やはり結果は「異なる印鑑による印影の可能性がある」とのことでした。

 ここに至って旧ひまわりの会は、真実、老人ホームの入居者の家族や川崎市役所のOB、元川崎市議会議員などから合計6000万円から8000万円もの資金が集められていたとしても、(1)旧ひまわりの会はなんらの債務も負担していないし関与もしていない、(2)そもそも、旧ひまわりの会はこれらの資金で設備を修繕した、設備を購入したといった恩恵はまったく受けていない、と結論付けました。

 しかし「結論」は固めたものの、さまざまな公的支援や公的優遇を受ける身である旧ひまわりの会としては、このまま存在するかしないか判然としない合計6000万円から8000万円もの「設備債券」問題を抱え続けるのは財務的にも法的にも問題があると考え、本年5月、社会福祉法人を所掌する厚生労働省社会・援護局に助言を求めました。

 その結果、同局から「債券に基づく支払に安易に応じるべきではなく、本当に支払義務があるのかどうかについては司法判断を仰ぐべきである」とのご意見を頂きました。

訴訟を提起

 そこで、民事訴訟上のさまざまな技術的な問題を一つひとつクリアし、平成27年9月9日、「設備債券」をお持ちの方々61名に対し、「『設備債券』には法的効力があるのかないのか」を確認するための訴訟を提起し、平成27年11月27日、横浜地裁川崎支部にて第1回口頭弁論が開催されました。

 なお、第1回口頭弁論の結果、「設備債券」をお持ちの方々のうち、数名はすでにお亡くなりになっていること、また、5名の所在が不明であることが判明しています。その他の方々は、形式的にはこの裁判を争う姿勢を示しておりますが、今後どのような主張、反論を行うかは現時点ではわかりません。

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