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ツタヤ図書館、ラーメン本購入し郷土資料を大量廃棄、小説『手紙』が「手紙の書き方」棚

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 さらに、地域の図書館として本来大切に所蔵されるべき郷土資料に加えて、併設のレンタル店と競合しそうな人気のDVDやCDを、市民に説明もなく大量廃棄していたことも批判の的になった。ここに至って、それまで図書館の民間委託に賛同していた人たちからも、「とんでもない公私混同」と怒りの声が渦巻いた。

 ちなみに、筆者の著作を武雄市図書館のサイトで検索してみたところ、同館には21冊所蔵されていた。その中には、雇用保険関係の同じタイトルの古い本が4冊(04年版、05年版、09年版、12年版)もあったが、今年発行した最新版は所蔵されていない。この著作は、法改正等に合わせて内容を改定し、巻末に過去の法改正履歴も収録しているため、新しい版を入れたら古い版は除籍されるべきものである。

司書も本を探せない

“図書館の命”ともいわれる選書に加えて、本の分類方法でも問題が浮かび上がった。

 10月、2館目のツタヤ図書館としてオープンした海老名市立中央図書館では、一般の図書館が採用する標準的な分類法とは異なる「ライフスタイル分類」という独自方式を採用している。「本との出会い」を演出する仕掛けらしいが、どこに何があるのかがわかりづらく、所属の司書ですら本を探せない事態が続出した。

 たとえば、小説『手紙』(東野圭吾/文藝春秋)は「手紙の書き方」、『旧約聖書』の「出エジプト記」は「海外旅行」、『雁』(森鴎外)は「鳥類図鑑」、さらに松尾芭蕉の『奥の細道』関連の本は「国内旅行」という棚に、それぞれ分類されていることがインターネット上で笑いのネタとして駆け巡った。

 海老名市立図書館の管理運営はCCC単独ではなく、業界最大手の図書館流通センター(TRC)が共同事業体として参加しているが、そのTRCの谷一文子会長は次のように不満をぶちまけている。

「(ツタヤの独自分類は)系統立てて理解することが第三者にはできない。たとえて言うなら、図書館の書架が個人の本棚のようになっている。好きなように分類した当事者にとってはわかりやすいかもしれないが、第三者にはまったくわからない」(12月4日付東洋経済オンライン『TSUTAYA図書館に協業企業が呆れた理由』より)

 結局、両社の溝は埋まらず、指定管理スタートから1カ月もたたないうちにTRCが「基本的な思想が違う」として、CCCとの協業関係の解消を表明。その後、一転して「指定管理期間満了までは協力関係を継続する」と態度を変えたものの、一連の騒動はツタヤ流の図書館運営がいかに独善的であるかを世間に強く印象づける結果となった。

 さらに、貸し出しカードにTポイントを導入することで個人情報保護に対する不安の声が上がったほか、公共部門の図書館と商業部門の併設書店やカフェとの境界線の不明確さ、誘致方法や指定管理者選定プロセスの不透明さなど、さまざまな疑念が次々と浮かび上がっている。そのなかでも最も世間の反響が大きかったのは、公共図書館としての基本機能に対する不信感だった。

 いくら外観や内装が素晴らしく居心地のいいスペースであっても、肝心の図書館としての機能がお粗末であることが次第に浮き彫りになってきたわけで、その象徴的出来事が「選書問題」だったのである。

 その意味では、地元紙・神奈川新聞が海老名市立中央図書館のリニューアルオープン直後に自社サイト・カナロコに掲載した館内写真は、本好きの市民にとってはさぞや衝撃的だったことだろう。最上段の棚には、中が空洞のダミー本が並んでいる。カナロコは「偽物を飾る『カフェ』」と題して痛烈に皮肉っている。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

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