ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 爆増の中国人観光客、ただ迷惑ばかり  > 3ページ目
NEW

爆増の中国人観光客、ただ迷惑ばかり!恩恵は一部の店だけ、大半が呼び込み狙い無駄金浪費

文=小川裕夫/フリーランスライター
【この記事のキーワード】, ,

中国人の爆買い向け施策はすべて無駄?

 最新の観光庁の統計によると、通訳案内士の有資格者の31%は東京におり、もっとも多い。次いで神奈川13%、千葉7%、埼玉5%となっており、東京圏だけでも6割近い数に上る。これに、大阪9%と兵庫6%が加わる。つまり、訪日外国人を案内する人材が大都市にしかおらず、地方に誘導できていないのだ。

 そのため、近い将来に「日本は飽きた」と中国人観光客から思われてしまい、一気に爆買いブームが終焉する可能性は否定できない。

 観光庁や政府観光局は中国人観光客のリピーターを増やすべく、東京-大阪のゴールデンルート以外の観光地のPRに取り組んでいる。政府も2017年1月に沖縄県・東北3県に対して数次ビザが緩和するなど、地方誘客への後押しをしている。だが、目に見える効果は挙げられていない。

 一方、中国以外のほかの国、例えばシンガポールやタイなどからの訪日観光客も増えつつある。シンガポールからの観光客は北海道、タイは山梨が人気で、地方経済への貢献も大きい。リピーターも増えているという。

「シンガポールは国土が狭いので、広い大地の北海道をドライブするのがウケています。またタイでは、日本人には無名の場所ですが、山梨県のお寺の境内から見える富士山の姿が大きな話題になっているようです」(観光庁幹部)

 そんな中で、中国人観光客だけは相変わらず東京・大阪といった都心部で、しかも決まった店舗で買い物をしている。爆買いが目立つとはいえ、その経済効果に疑問が投げられるのは当然だろう。ある地方自治体関係者は、こう胸の内の不安を明かす。

「中国人観光客の爆買いを狙い、あちこちの市町村で中国語のパンフレットを制作したり、案内表示板を設置したりしています。なかには中国人観光客が押し寄せて嬉しい悲鳴を挙げている自治体もあるようですが、それらは少数でしょう。中国経済の好調がどのぐらい続くのか未知数ですし、日本に飽きてヨーロッパに目を向けてしまうかもしれません。2~3年もしたら、中国人観光客は途絶えてしまうのではないかと心配しています。そうなると、中国人観光客を誘致するために整備したものがすべて無駄になってしまうわけです」

 地方都市はどこも人口減少で税収が先細りしていくばかり。産業も衰退するなかで、中国人の爆買いに一縷の望みを託したい気持ちは理解できなくもない。仮に中国人観光客の誘致に成功して経済的に活況を呈しても、それは一時的なものでしかない。爆買い頼みは、いわば麻薬のようなものだろう。

 目先の爆買いに惑わされることなく、国家100年の計ともいえるような、地に足の着いた観光戦略を政府や行政は打ち出すことができるだろうか。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

爆増の中国人観光客、ただ迷惑ばかり!恩恵は一部の店だけ、大半が呼び込み狙い無駄金浪費のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!