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ツタヤ図書館、契約ずさんとして住民が訴訟!市が住民の情報開示要求を拒否!深まる不信

文=日向咲嗣/ジャーナリスト

 この場合、一部委託とは違って、船長が船会社とは異なる会社に雇用されているという点が大きい。雇用形態も正規社員とは限らない。そうすると船長は、乗船客や船会社の安全や利益に忠実ではなくなる可能性がある。

 昨年韓国で、修学旅行中の高校生ら476名を乗せたまま沈没するという大惨事を起こしたセウォル号のことは記憶に新しいだろう。この事故で、乗客を救助せずに真っ先に逃げ出した船長は非正規雇用だったと伝えられているように、船会社が現場責任者の待遇をないがしろにすると、大きな代償を払うことになる。

 公共施設の一部業務委託は、財政難に苦しむ地方自治体にとって、ある意味仕方ない施策といえるが、丸ごと民間に任せる指定管理者制度は問題が多い。特に図書館のような文化施設にはなじまない。ましてや、海老名市のように本来、地域館を統括して司令塔の役割を果たす中央図書館の機能まで指定管理にしてしまうのは、いきすぎである。ちなみに、武雄市は市内に図書館が1館しかなく、その図書館を指定管理にしている。

 日本図書館協会によれば、全国に約3200ある公共図書館のうち、指定管理にしているのは470館で、年々増え続けてはいるものの、それでもまだ14%程度である。

 たとえば、市内に18の図書館を抱えている横浜市の場合、そのうち指定管理者に運営を任せているのは1館だけで、試験的に導入しているにすぎない。

 全国で最も民間委託を熱心に進めている東京・足立区ですら、14ある地域館はすべて指定管理となっているものの、中央図書館だけは区の直営である。

 今後も、「民間委託は素晴らしい成果を上げる」という先入観に騙され、小規模都市の中央図書館が次々と“ツタヤ図書館化”していきそうな勢いである。

 どのように街を活性化させるか頭を悩ませている自治体にとって、CCCは丸投げしておけば、難題の「人が集まる街づくり」まで代わりに企画、実行してくれるありがたい存在なのかもしれない。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

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