NEW

ツタヤ図書館、市が全小学生にTカード加入の勧誘疑惑?教育委員会「問題ない」

文=日向咲嗣/ジャーナリスト

公立小学校全体で私企業の利益を後押しする異常さ

 Tカードは、レンタルショップのTSUTAYA(ツタヤ)を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開するTポイントサービスを利用するためのカードだ。提携する店で買い物や飲食するとTポイントがたまり、それを加盟店でも使える。CCCが運営する武雄市図書館の場合、無料で本を借りてもポイントがつく。

 Tカードは、CCCの主力事業のひとつだ。会員は、提携店を利用してポイントをもらえる代わりに、日々の行動履歴データは、CCCにすべて補足されることになる。CCCは、そのデータを自社のありとあらゆる部門の経営に生かすと同時に、提携企業にも個人情報を除いたデータを提供することで収益を上げる。

 そんな完全に私的な事業を、市内の学校をあげてサポートしているかのような出来事に少なからぬ父兄が強い違和感を覚え、同時に子供の個人情報までも根こそぎ一民間企業に補足されることに対して底知れぬ恐怖を抱いただろう。

 実際、この事実をツイートした人は、この後、それまで抑制していた武雄市図書館の指定管理者であるCCCに対する反感をあらわにすることになる。

 インターネット上では、このプリントについて、当初「いくらなんでも市の教育委員会がそんな公私混同なことするわけない。おそらく怪文書だろう」との見方も出ていた。しかし、やがてそれが本当に小学校で配布されたプリントであることが判明すると、そのあまりの配慮のなさに批判が殺到することとなったのは、ごく自然のなりゆきだろう。

 武雄市教育委員会に事実関係を確認したところ、「確かにそのような文書を配布したが、事前に各学校の校長には任意である旨を説明していたので、問題があったという認識はない」とのこと。

 そもそも「武雄市では、図書館が指定管理になる前から、児童・生徒の利便性のために、定期的に学校で一括してカード作成する機会を設けていて、今年だけのことではない」という。そこで「では、毎年の恒例行事なのか」と質問したところ、「いや、ここ数年は行っていなかった」と説得力がない回答をする。

 教育委員会は「この件について、直接、教育委員会への父兄からのクレームは特になかった」と説明しており、ネットでの反応とはあまりにも落差が大きい。

 しかし、東京都内の学校関係者にも取材したところ、「調べ学習のため、クラスごとに団体カードをつくることはありますが、読書推進活動の一貫として、教育委員会が全児童個人に図書館のカードを作成させるようなことは、まずあり得ない」と断言し、「まして、一民間企業の利益になると疑われるようなことをするとは信じられない」と驚く。

RANKING

23:30更新
  • ジャーナリズム
  • ビジネス
  • 総合