NEW

ツタヤ図書館、市が全小学生にTカード加入の勧誘疑惑?教育委員会「問題ない」

文=日向咲嗣/ジャーナリスト

カード作成の何が問題なのか

 問題なのは、まず「ポイント付きカード」を希望するかどうかを市内の各世帯に選択させた大量のデータを、市が一時的にせよ保持することになった点である。

 なぜならば、「ポイント付きカードを希望した」人は、前市長が役所をあげて推進した新図書館事業を支持する「賛成派」とみることができ、「ポイント付きを希望しない」人やカードの作成を申し込まなかった人は「反対派」であるとの“踏み絵”をさせられるように感じた人もいただろう。

 門外漢にとっては、まったく荒唐無稽な話だが、一連の騒動によって、それくらい市民はナーバスになっている。場合によっては、「ポイント付き」を選ぶ生徒が多いクラスでは、同調圧力がかかるかもしれない。

 そして何より、ポイントの付くカードを作成することで、2013年にCCCが図書館の指定管理者と決まってから指摘され続けてきた問題があらためて浮かび上がってくる。それは、公共図書館において、これまで不可侵とされてきた個人の貸出(読書)履歴情報保護だ。

 どんな本を借りたかというのは、人に知られたくない個人情報として厳密に管理されるからこそ、我々は安心して公共図書館を利用できるのだか、その情報が第三者によって密かに収集されているとしたら、こんなに気味の悪いことはない。

 CCCは、借りた本の書名はもちろん、個人を特定される情報はCCC側に一切保存されないと説明しているが、カード発行時に個人情報を登録している以上、利用者はマイナンバー制度同様、個人情報について漠然とした不安を拭いきれない。

 また、未成年の場合、保護者が一度規約に同意してしまえば、将来成人してからも、自分で削除要請を出さない限り、行動履歴を延々と収集・蓄積され続ける懸念を指摘する声もある。

 子供の個人情報に関しては、昨年、最大2070万件もの顧客情報が流出して大問題となったベネッセの事件を持ち出すまでもなく、ありとあらゆる事業者にとってのどから手が出るほど欲しい「宝の山」である。その取り扱いは相当に慎重を期させないといけないなかで、教育現場で一民間企業のポイントカード会員獲得を代行するなど前代未聞である。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

情報提供はこちら

RANKING

5:30更新
  • ジャーナリズム
  • ビジネス
  • 総合