ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 歌詞盗作、歌手と発売元も懲役10年?  > 2ページ目
NEW

ミスチル歌詞パクリ騒動、歌手と発売元にも懲役10年の可能性も…過去に槇原敬之も騒動

文=編集部、協力=児玉政己/弁護士法人AVANCE LEGAL GROUP LPC弁護士
【この記事のキーワード】, , , ,

過去にもあった歌詞盗作騒動

 その結果、前述のように、最大10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその併科という刑罰を科される可能性があるという。

「もっとも、過失行為によっても成立する民事上の不法行為責任とは異なり、著作権侵害の罪の責任を問うためには、行為者にその罪を犯す意思(故意)が必要になります。

 この点、歌手および発売元は、問題発覚の当初から<『盗作』がされた事実を知らなかった>として、その複製や演奏が著作権侵害となることについて、故意の存在を否定し続けているため、彼らに対して著作権侵害の罪の責任(刑事上の責任)を問うのは難しいかもしれません」(同)

 歌詞の盗作騒動といえば、06年に勃発した歌手・槇原敬之と漫画家・松本零士の問題が思い返される。槇原が作詞を手がけたCHEMISTRYの楽曲「約束の場所」の歌詞の一部が、松本の『銀河鉄道999』(小学館)のセリフを盗用したものであるとして、裁判沙汰になった一件だ。

「この問題は、槇原側から『著作権侵害の事実がないことの確認』などを求める訴訟が提起された上で、槇原側の勝訴というかたちで決着がついた(一審の判断。その後控訴され、控訴審において和解により終了)ものの、著作権侵害の事実の有無については判断されていません(東京地方裁判所、平成20年12月26日判決)。

 もっとも、裁判所は当該事件で、名誉毀損における『摘示された事実が真実であるか』という争点についての判断において、槇原が『漫画の台詞に<依拠して>歌詞の創作を行ったか』という点の判断をしています。

 それによれば、裁判所は、漫画のセリフは非常に短い文章であり、仮にこれに触れたことがあるとしても、必ずしも当該表現に注目し、記憶に残るとは限らないこと、また、そのような短文の両表現を比較する際において『裏切ってはならない』と『決して裏切らない』というような表現上の差異は必ずしも小さいものではなく、特徴的な部分が異なっているといえる両表現の相違は大きいといえ、酷似しているとまでは言えないこと、などの理由から、『槇原の歌詞が漫画のセリフに依拠したものと断定することはできない』との判断を示しています。

 前述の通り、著作権侵害を判断する上では『依拠性』『同一性』の要件についての判断が必要になるため、当該事案における裁判所の判断方法は、『歌詞の盗用』の著作権侵害の判断に際して、参考になるものと考えられます」(同)

 今後、「ぬくもり」の騒動がどんな展開を見せるのか、成り行きが気になるところだ。
(文=編集部、協力=児玉政己/弁護士法人AVANCE LEGAL GROUP LPC弁護士)

ミスチル歌詞パクリ騒動、歌手と発売元にも懲役10年の可能性も…過去に槇原敬之も騒動のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

関連記事