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介護ヘルパーの手抜きや虐待量産…老人ホームを荒廃化させる国の悪法!現実無視し理想追求

文=Legal Edition
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「個室を義務付けたことで密室となり、死角が増えました。それが原因となり、ケアの手抜きやヘルパー同士の連携不全、果ては虐待といった問題が噴出しています」(同)

 プライバシーという利益を守ろうとした結果、むしろデメリットが大きくなっているのが現実なのだ。また、個室化を無理に実現しようとすればコストがかさんで、その負担は結局利用者に跳ね返ってくる。しかし、それでは年金が削られ収入が途絶えることになる高齢者は、毎月の入居金、保険料を払うことすら困難となっていく。

 人のニーズ、金銭負担の許容範囲、生活スタイルはさまざまだ。国は理想を追い求めて介護保険制度を構築しているが、その現実とのギャップが歪みとなり、逆に法律の目の届かない場所で介護が行われているという事態を生み出している。

「『共同生活でも路上よりはましだから、格安の施設に入れてほしい』という高齢者は、今後も増加し続けるでしょう。あらゆる贅沢に応え、理想だけを唱えていれば済む時代はとうに終わっていることを、国も自覚するべきです」(同)

 介護保険の世界は、あまりに理想と現実が乖離しすぎてしまった。今回指摘されている無届介護ハウスの増加は、その矛盾が表面化した一例であり、氷山の一角に過ぎない。国は、要介護者にとって本当に必要なサービスと安全措置をもう一度見直し、現実的な最低ラインを引き直すべきだろう。
(文=Legal Edition)

【取材協力】
弁護士 外岡潤 
弁護士・ホームヘルパー2級。介護・福祉系法律事務所「おかげさま」代表。
札幌生まれ東京育ち。2009年、介護・福祉の現場におけるトラブル解決に特化した事務所を開設、現在に至る。12年「一般社団法人介護トラブル調整センター」を設立。話し合いでトラブルを解決するメディエーションを研究・推進。著書に「介護トラブル相談必携」(民事法研究会)、「介護トラブル対処法~外岡流3つの掟~」(メディカ出版)、「介護職員のためのリスクマネジメント養成講座」(レクシスネクシス・ジャパン)ほか多数。

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