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ルディー和子「マーケティングの深層と真相」

キティを「殺した」サンリオの失敗、肉まんでも登場 ミッキー長寿のディズニーとの差

文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学教授

 しかし、その一方で「キティは仕事を選ばない」と揶揄されたように、キティは過剰労働よろしく、文具やアパレル、家電をはじめとして、ありとあらゆるところに顔を出すようになる。

 コンビニエンスストアでキティ顔の肉まんが売られ、工事現場の単管ゲートもキティ顔。イメージがどうこういう前に、これだけあちこちで働いていては飽きられる。

 鳩山氏は「オープンイノベーションの考え方を導入して、外部の知恵を生かすようにした」「可愛い、仲よく、助け合いの精神に則っていれば、あとは自由」と語っていたが、オープンイノベーションの意味を自分の都合のよいように解釈して、キティで短期的に儲けることしか考えていないのではないかと非難されても仕方がない。

 ミッキーマウスを筆頭に、シンデレラ、白雪姫、ラプンツェルという3人の人気プリンセス、そのほかにも多くのスターキャラクターを抱え、ライセンスビジネスではNo.1の売り上げを誇るウォルトディズニーは、他者によるデザイン変更はダメ、使い方も制限し、イメージを慎重に守る方針をとっている。しかも、一業種につき一社での使用が常識となっている。

手本はミッキーマウス

 一方のキティは、たとえばファストファッションの分野でスウェーデンのH&M、米フォーエバー21、スペイン・インディテックスのZARAにも使用を許可している。経済情報サイト「ブルームバーグ」によれば、14年現在、世界中に5万種類のキティ商品があふれているという。これでは、いくら可愛くても飽きるだろう。それに、キャラクターのイメージの統一感が失われる。

 アナ雪のキャラクターに米国で売り場を奪われたのは、あれだけ映画がヒットしたのだから仕方がない。だが欧州においても、10年度をピークに180億円あったライセンス収入は下降線をたどっているという。やっぱり、キティが飽きられているからではないだろうか。

 ウォルトディズニーは、ライセンス供与先を多くすることには慎重だ。売り上げは一時的には多くなるが、長期的に考えるとミッキーマウスの寿命を縮めることになる。すでに87歳のミッキーの不老長寿を実現するためには、その商品やサービスがミッキーのストーリーに忠実で、ミッキーがその商品に姿を現すことが意味あることでなくてはいけないと考えている。

ルディー和子/マーケティング評論家

ルディー和子/マーケティング評論家

早稲田大学商学学術院客員教授。
国際基督教大学卒業後、結婚・渡米を経て帰国、
米化粧品会社のエスティ ローダー社で働きながら
上智大学国際部大学院経営経済修士課程修了。
エスティ ローダー社ではマーケティングマネジャー、
出版社タイム・インク/タイムライフブックス社での
ダイレクトマーケティング本部長を経て、
マーケティング・コンサルタントとして独立、
自身の会社ウィトン・アクトンを設立
ルディー和子オフィシャルブログ

Twitter:@shouhigaku

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