「アメリカ食品医薬品局(FDA)が『2018年以降は、トランス脂肪酸の加工食品への使用を全米規模で大幅に制限する』という措置を発表したことからも、その危険性がわかるのではないでしょうか。
ヨーロッパ各国も、多少の差はあるにせよ、なんらかの規制をしているのは事実ですので、やはりトランス脂肪酸は摂取しないほうがいいと考えるべきでしょう。
世界保健機関(WHO)では、トランス脂肪酸の摂取を1日の総エネルギー摂取量の1%以下にするように推奨しています。仮に1日の総エネルギー摂取量を1800キロカロリーとすると、1%は18キロカロリーです。脂肪は1グラム9キロカロリーといわれているため、摂取量の上限は2グラムとなります。
ファストフード店のポテトフライ(Mサイズ)には、約4.5グラムのトランス脂肪酸が含まれているほか、コンビニエンスストアなどで売られているスナック菓子には、1箱に約2グラムのトランス脂肪酸が含まれているものもあります。
菓子パンの中にも、1個あたり4グラム以上のトランス脂肪酸が含まれているものがあり、同じくコンパウンド100グラム中には9~12グラムも含まれているといわれています」
トランス脂肪酸は身近な食品に使用されており、すぐに摂取量の上限を超えてしまうことがわかる。また、欧米の対応を見る限り、その危険性が認識され始めているようだ。南氏は、「仮に栄養士がトランス脂肪酸について言及するようになったとすれば、それは喜ばしいことだ」として、自身の体験を語ってくれた。
「以前、3年間ほど大手給食会社の顧問を務めていたことがあるのですが、社内でセミナーを開催した時に驚いたことがあります。それは、セミナーに出席していた200人以上の管理栄養士および栄養士のほとんどが、脂肪酸の種類について詳しくなかったということです。
みなさん、頭脳明晰で仕事熱心だったにもかかわらず、『オメガ3脂肪酸』『オメガ6脂肪酸』などをはじめ、トランス脂肪酸のことも知らない人が多くいました。
別の管理栄養士の方からは、『脂肪酸の種類については学んでいない』という話も聞いたことがあります。つまり、栄養士にとって、脂肪は1グラム9キロカロリーの物質でしかなく、その中に含まれる脂肪酸の種類に関して問うことはなかったようです。しかし、これをきっかけに、栄養士の方々の間でも、脂肪酸についての議論が高まることを期待してやみません」(南氏)
平謝りのタニタ
ツイッターでの何げない発言が、思わぬ論争を招いた今回の騒動。一部ニュースサイトでは、問題のツイートをしたスタッフが担当から外されたとも報じられている。