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鈴木貴博「経済を読む目玉」

米国政府が恐れる、最もショッキングな未来予測…世界の変化を引き起こす根本的要因

文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役
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 これまでの世界の安定は、権力が弱い個人の力を抑え込むことによって実現していた。バロウズ氏は、これまでの世界の混乱の多くの原因も、これから起こるであろう世界のより新たなリスクも、その多くが「個人へのパワーシフト」が引き起こすということを理解すべきだと言う。

 かつて誰もが願った経済発展と科学の力で、より豊かで機会にあふれた社会が訪れる。それが現実になることで、副作用として、個人個人に大きな破壊力を与えてしまったことが、世界の安定にとって実はリスクだと言うのである。それも、アメリカを中心とする西側諸国の個人だけではなく、思想や宗教が異なる西側以外の世界により拡がっていく。そのことが、米国政府が恐れる脅威になるとバロウズ氏は言うのである。

21世紀型の脅威

 個人の力が強力になることの何が悪いのか。

 私が『シフト』の行間から読み取ったことを今の日本社会に当てはめてみると、確かに同じことが起きている。

 政治家は国民から容赦なく批判され続ける。そのことで長期的な政策について話をする時間はなくなり、目先の問題に追われる。テレビ番組は視聴者からの過剰な反応に左右され続ける。視聴者の声はテレビ局の頭越しにスポンサーに届き、番組の内容を変更せざるを得なくなる。そしてテレビはどんどんつまらなくなり、個人が投稿した動画に皆の目が集まるように世の中が改悪されていく。

 有名タレントは一般人の好奇の目に常にさらされる。プライベートな行動を見かけた情報は、すぐにネットを通じて日本のすみずみへと拡散される。誰かの目につかない小さな存在でいるほうが、今の世の中ずっと住みやすい。

 そのような先に、さらに力を持った個人が出現すること。それが21世紀型の脅威だとも言う。グローバルで象徴的な問題は、テロリズム。数十人のグループが国家に対して戦争をしかけることができる世の中になってしまった。目に見える暴力ではなくても、もし非常に優れた十数人のハッカー集団がグローバルな金融システムのデータを書き換えるような力を手に入れて、それを実際に実行してしまったらどうなるだろうか。

 もし数千億円の個人資産を手に入れたデイトレーダーが、ある日「上場企業を買収してオーナーとして支配しよう」と考えついて、それを実行に移してしまったら? もしそれが、私たちとはまったく違う思想、哲学、宗教の下で生まれ育った、まったく価値観が違う個人によって行われるとしたら?

 この最後のポイントが、バロウズ氏が一番強調している点である。

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17:30更新
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