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さらにケータイ料金が上がる公算…格安スマホ普及を妨げ、業界の競争力も削ぐ愚策

文=佐野正弘/ITライター
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 そして3つ目は、「MVNOのサービスの多様化を通じた料金競争の促進」である。これは従来MVNOが求めていた、キャリアが持つ加入者管理機能の開放に向けた協議を促進するというもの。ネットワーク制御に必要な、電話番号や端末情報、顧客の契約状況などといった情報を管理する機能をMVNO側が持つことで、MVNOが独自のSIMカードを発行したり、料金プランを自由に設定できたりするようになる。MVNOの競争力を高めるためにも、加入者管理機能の解放促進を積極化させたい狙いがあるようだ。

MVNOの活性化よりもキャリアへの値下げを優先

 ようやく料金引き下げに向けた方針が打ち出され、キャリアにも要請がなされたことから、今後はキャリアがこの方針を受けてどのような対応を実施するかが焦点となってくるだろう。しかしながら今回のタスクフォースの議論と、それを受けて打ち出された方針を見ると、一貫性を欠くなど疑問を抱く部分が少なからずある。

 たとえば今回の方針では、キャリアに対しライトユーザー向けの低価格な料金プランを提供することを求めており、16日のタスクフォースの取りまとめを見ると、「対象年齢や機種を限定して提供されている5,000円以下のライトユーザー向けプランの価格帯も参考に」ライトユーザー向けの料金プランを検討すべきとしている。

 実際、大手キャリアがライトユーザーが多いとされるシニア向けなどに提供している料金プランを見ると、高速データ通信容量が1GB以下で5000円以下という料金を実現しているものが多いことから、こうした料金プランを全年齢に広げることを想定しているようだ。

 だが、そもそもキャリアが安価な料金プランを提供することは、ライトユーザーがキャリアにとどまり続けることも意味している。最近は安価な料金で勝負をしているMVNOがライトユーザー獲得に向け力を入れているが、今回の方針ではキャリアからMVNOへとユーザーが移動することを阻止し、MVNOの競争力向上を阻害する危惧がある。

 もちろん、MVNOの料金プランは2000円前後であるのに対し、キャリアが新たに提供する料金プランは安くても5000円前後となる可能性が高く、料金面ではMVNOが有利であることに変わりはない。だがキャリアにライトユーザーがとどまり続けること自体、ライトユーザーを獲得して競争力を高めたいMVNOにとっては不利になることは確かだ。

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