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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べれば良いのか」

年収2百万円未満の人、安価な米・パンに食偏重で病気も…肉・野菜の摂取少

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

 

低所得者の「奇妙に合理的な食生活」

 低所得だと、なぜ穀類の摂取が多く、野菜類・類が少なくなるのか。それには、小売単価とカロリーが関係しているのではないか。

 例えば、さまざまなデータ【編注4】を基にした筆者の計算によれば、米(精白米)の1g当たりの小売価格は0.4円で、同1g当たりのエネルギーは1.7キロカロリー(kcal)【編注5】だから、同1円当たりのエネルギーは4.25kcalとなる。

 これに対して、国産牛肉(冷蔵ロース=肩ロース、リブロース)の1g当たりの小売価格は7円【編注6】で、同1g当たりのエネルギーは4kcalだから、同1g当たりのエネルギーは0.57kcalとなる。

 同様に計算すれば、輸入牛肉の同1g当たりのエネルギーは0.7kcal、豚肉(もも=脂身つき、生)が0.8kcal、鶏肉(もも=皮付き、生)が1.5kcalだ。つまり、1円当たりのエネルギーだけを考えれば、米は国産牛肉の7.5倍、輸入牛肉の6.0倍、豚肉の5.3倍、鶏肉の2.8倍も多く、肉類よりも安くて高カロリー食ということになり、低所得者はむしろ合理的な選択をしていることになる。
 
 ちなみに、キャベツとダイコンの1円当たりのエネルギーは共に2kcalもあって肉類より多く、カロリー摂取だけを考えれば、奇妙な話だが肉類を食べるよりもキャベツとダイコンを食べたほうが良いということになる。
 

年間120万円 から360万円の大差

「奇妙に合理的な食生活」に追い立てられる低所得者の、所得の実情はどうか。

 まず、先の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」の表【編注7】によれば、全労働者のうち正社員(正規社員)は60.0%で、残り40.0%が非正社員(非正規社員)だ。非正社員のうちパートタイム労働者が約6割(58.0%)のダントツトップで、ほかは出向社員や契約社員、嘱託社員、臨時労働者、派遣労働者、その他がそれぞれ1~5%程度で横に並ぶ。前回の10年調査結果で非正社員は38.7%【編注8】だったから、1.3%増加したことになる。

 ただ、今回は規模5人以上の民間の事業所に加え、官公営の事業所も対象にしており、前回との連続性はないが、広くカバーしており、より実態に近い。
 
 肝心の所得だが、正社員の場合、ボーナスなどを除いた「9月の賃金総額(税込)階級別労働者割合」【編注9】によれば、最も多いのが33.7%の20万~30万円未満で、これに26.8%の30万~40万円未満、15.2%の20万円未満、10万~20万円未満が続く。

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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