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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

地獄の歯科業界、大余剰で年収2百万も…激増の「整体」」「もみほぐし」、大チェーン出現

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント
地獄の歯科業界、大余剰で年収2百万も…激増の「整体」」「もみほぐし」、大チェーン出現の画像1「Thinkstock」より

 駅前通りを歩いて、以前に比べて目につく店看板が3つある。

 ひとつ目は、もちろんコンビニエンスストアだ。2つ目は歯科である。「デンタル・クリニック」などと掲げている歯科は、比較的近年開業された場合が多い。

 ある歯科医は、「コンビニより多いといわれているんですよ」と自嘲的に言う。

 厚生労働省、医療施設動態調査によると、今年1月末時点で日本全国にある歯科診療所の数は6万8799カ所だという。一方、日本フランチャイズチェーン協会の11月度「JFAコンビニエンスストア統計調査月報」によると、日本全国にコンビニは5万3309店ある。つまり、実際に歯科のほうがコンビニより多い。

地獄の歯科業界、大余剰で年収2百万も…激増の「整体」」「もみほぐし」、大チェーン出現の画像2『間違いだらけのビジネス戦略』(クロスメディアパブリッシング/山田修)

 これは、歯科医の供給数の増大から来た必然的な結果だ。日本全国の大学にある歯学部の年次定員合計は約3000人だ。医学部定員の総計が約9000人であることからも、単独医科としての歯学部からの卒業生は突出しているといえる。現在、全国の歯科医は11万人余りも存在するといわれている。

 昔は「目医者よりも歯医者、なぜなら目は2つだけ」などといわれていたが、見方を変えれば「口はひとつだけで人口は減っている」という社会情勢だ。

 上記調査で、コンビニの店舗数は前年同月より3.1%増と上向きだが、歯科診療所の数は2013年に約6万8000軒に達してから、ほぼ横ばいとなっている。歯科医の数が増えて小規模クリニックの開業が相次いでいる中、競争が激甚となり東京都内では1日1軒のペースで閉院に至っているのだ。

 厚労省「賃金構造基本統計調査」によると、14年の歯科医の平均年収は734万円であるが、若年歯科医の大幅な供給により、4分の1の歯科医は年収200万円に満たないとみられている。国家資格取得に至るまでの高額な教育費を勘案すると、「歯科医ワーキング・プア」とまで揶揄される事態が現出している。

 このような状況から、今後、街の歯科の数は、「今日ひとつ開院すると、明日は別のところが閉院する」ほどに、現在をもって飽和状態で推移していくのではないか。

 つまるところ競争原理が働き始めるのは間違いなく、もう昔のように“おいしい”職業ではなくなってしまったのだ。

リラクゼーションは成長産業?

 さて、街中で目につくようになった3つ目の看板は、「もみほぐし」や「整体」などの看板だ。これらの呼称を掲げる店舗は、「リラクゼーション」と総称されている。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
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