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中沢光昭「路地裏の経営雑学」

後継者問題が社会的に深刻化!多くの中小企業が存亡の危機…事業承継に悩んだらこうすべき(前編)

文=中沢光昭/経営コンサルタント
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 事業承継の問題は以前より表面化しているため、国も放置しているわけではありません。公的・中立的な機関として全国に事業引継ぎ支援センターが運営されています。しかし、まだ立ち上がってからそこまで時間が経っていませんので、全国でもっとも事業承継M&Aが多いであろう東京でも、成約したのは3年間(2012年~14年)で43件と公表されています。相談件数はほぼ同期間に1500件程度であり、一定の機能を果たしているようには見えますが、東京都の法人数が約26万社(12年)であることを踏まえると、もっと数があってよいのではないでしょうか。また相談件数に対する成立件数が2.8%という件数比を適用すると、300件の成立に対しては相談が1万件以上あったと推測できます。

 12年の内閣府のデータによれば、従業員数が100人以上の規模の会社は6万社である一方で、10~100人の会社は110万社、10人以下は427万社あります。今後、中小企業のM&Aは増えていくことが予想されます。

 実態として、中小企業が後継者問題に直面したとき、具体的にどのような行動を取るのでしょうか。まず経営者仲間や知人に聞いたり、あるいは取引のある金融機関に相談したりするケースが多いようですが、たとえば経営者仲間にM&Aの経験者を見つけるのは難しいでしょう。金融機関や取引先の大企業に経験があった場合でも、そうした大企業とお付き合いのあるアドバイザー・仲介会社は、中小企業をあまり相手にしません。

企業規模の大小とM&Aの手間は比例しない

 買い手企業にとって、買収候補先を調査・評価(デューデリジェンス)する手間は、相手の会社規模に比例するわけではありません。さすがに売上高1億円と1000億円では異なりますが、著者の感覚からすると、売上高が30億と100億では、手掛ける事業が1~3種類くらいで展開地域が国内中心であれば、デューデリジェンスの手間にあまり違いはありません。事業の数やビジネスモデルのほうが手間には大きく影響します。200億円と1000億円、もしくは3000万円と2億円でも同様です。

 買い手が事業会社であれば、自社と相手の事業シナジーに着目して、規模は関係なく事業の中身自体に注目して検討します。一方で、投資会社の社員は投資先会社の売却益以外にも、運用している金額に比例して管理報酬を得ていますので、30億円と300億円の運用(投資)では、デューデリジェンスで同じ手間がかかったとしても収入が10倍異なることになります。

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

企業再生コンサルタント兼プロ経営者。
東京大学大学院工学研究科を修了後、経営コンサルティング会社、投資ファンドで落下傘経営者としての企業再生に従事したのち、上場企業子会社代表を経て独立。雇われ経営者としてのべ15期以上全うし、業績を悪化させたのは1期のみ。
事業承継問題を抱えた事業会社を譲受け保有しつつ、企業再生とM&Aをメインとしたコンサルティングおよび課題内容・必要に応じて半常勤による直接運営・雇われ経営者も行う。シードステージのベンチャー企業への出資も行う。
株式会社リヴァイタライゼーション 代表・中沢光昭のプロフィール

Twitter:@mitsu_nakazawa

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