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東芝不正で処分の新日本監査法人、解体の可能性も…会計士引き抜き争奪戦が加熱

文=伊藤歩/金融ジャーナリスト
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 というのも、今回の改正で監査役には監査法人の選・解任権が与えられることになり、この法改正を受け、コーポレートガバナンス・コードでも監査役は監査法人を適切に選定し、評価せよと謳っている。さらに、日本監査役協会は11月10日付で「会計監査人の評価及び選定基準策定に関する監査役等の実務指針」を公表しており、上場各社はこの実務指針に沿って担当の会計士を評価した結果について、株主総会で説明を求められる可能性が高い。

 そうなると監査法人を新日本から別の大手監査法人に変えてしまうことが、企業にとっては最も手っ取り早い。だが安易に変えれば自社の現場が混乱する。監査法人は変えたいが、事業内容をあらためて新任の会計士に理解させる手間はかけたくないし、会計処理も従来の方針を変えられては困る。

 そこで、担当会計士は同じ人物で監査法人だけ交代というシナリオがベストということになり、それを承知している大手監査法人が新日本から会計士ごと引き抜いてクライアントを獲得しようという動きに出ているのだ。

明日は我が身の自覚なき業界

 約2万8000人いる公認会計士の4割弱が4大監査法人(新日本、トーマツ、あずさ、PwCあらた)に所属しており、公認会計士は会社員比率が高いが、一般の会社員との最大の違いは所属法人への帰属意識が希薄だという点だ。

 給与所得者ではあるが、資格稼業なので監査法人をクビになっても食べていける。重要なクライアントをグリップしている限り、移籍先で外様扱いを受けてみじめな思いをするリスクもない。

 カネボウの粉飾問題で中央青山が業務停止処分を受けた際も、一部グループの独立と他法人からの引き抜きで、中央青山はあっという間に解体に追い込まれた。当時は一部だけ業務停止にする制度がなく、いったんすべての既存監査先との契約を解除せざるを得なかった。監査先企業への影響が最も少ない夏場が業務停止期間に選ばれたが、いったん解除した契約先は、業務停止期間終了後に戻ることはなかった。

 今回の処分は表面的には中央青山の二の舞になる内容ではないが、会計士の平均的なマインドを考えるとその可能性は否定できない。

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