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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

諸外国より高い食品消費税、高所得者ほど恩恵大、他の負担増…軽減税率の不都合さ

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 一方、財務省の試算によれば、17年4月から軽減税率を導入せずに消費税率が10%に引き上げられると、最終的に税収が5.6兆円増えることになる。これは、一方で酒類・外食を除く食料を軽減税率の対象品目とした場合の必要な財源が1兆円となるため、家計全体では4.6兆円程度の負担になることを示唆している。

軽減税率の課題


 内閣府の最新マクロモデルの乗数を用いて、消費税率が2%ポイント引き上げられた場合の影響を試算すると、初年度に個人消費の1.02%押し下げを通じて実質GDPを0.48%押し下げることになる。一方、そこに総額1兆円分の軽減税率を導入した場合の効果を試算すると、初年度に個人消費の押し下げ0.84%を通じて実質GDPを0.39%押し下げることになる。従って、1兆円分の軽減税率導入効果としては、初年度に個人消費の0.18%押し上げを通じて実質GDPを0.09%押し上げることになる。

 今後の軽減税率導入における課題としては、まず事業所への影響が指摘されている。理由としては、経済産業省によると、生鮮食品だけが対象の場合は軽減税率に関係する事業所は約120万にとどまるが、加工食品が加わることになると関連事業所が一気に約800万に膨らむためである。特に、食品を本業としない企業でも、来客用のお茶菓子などを購入すれば、軽減税率と標準税率を区分けして経理する必要がある。また、加工食品と外食との線引きが難しく、再来年4月までに法律をつくるには相当の困難を伴う。

 さらに足元の経済環境を勘案すると、再来年4月までにすべての事業者がシステムの改修や新設をする必要がある一方で、人手不足でシステムエンジニアの数が足りないという声もある。従って、今年度の補正予算でも170億円かけて相談窓口などの対策を盛り込む方針にあることからすれば、中小企業のシステム変更支援等、ある程度の予算を配分した対策は不可欠であると思われる。また、事業者が仕入れや販売の際にも税率ごとに商品を管理するための人材育成も必要な策といえる。

 なお、諸外国においては、標準税率が平均15%を超えているにもかかわらず、食料品の軽減税率が5%以下になっていることからすれば、日本も将来的にはインボイスの導入を前提に、標準税率の引き上げと軽減税率の引き下げも検討に値する。

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