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日本、ついに炊飯器でも韓国に敗北確実…

取材・文=佐久間賢三
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日本、ついに炊飯器でも韓国に敗北確実…の画像1「Thinkstock」より

 これまで、中国人に大人気の日本製品のうち代表的存在だった炊飯器。しかし、それももはや過去の話になってしまったようだ。

 韓国の通信社、聯合ニュースの報道によると、2015年の韓国製電気炊飯器の対中国輸出額が日本製の輸出額を超えることが確実になったという。

 韓国の国営貿易投資振興機関である大韓貿易投資振興公社が1月6日に発表したデータによると、14年の韓国製電気炊飯器の対中国輸出額は1479万ドル(約17億5000万円)で、輸出額1位である日本の1500万ドル(17億7500万円)と比べて、その差はわずか21万ドル(約2500万円)。12~14年にかけて韓国製電気炊飯器の対中国輸出額が年平均60%増という急激な伸びを示してきたことから、15年の年間輸出額は日本を抜くことが確実視されている。

 また、中国のインターネットショッピングサイトでも、日韓製品は販売台数ですでに逆転しており、韓国トップの炊飯器メーカーであるクック電子は昨年11月、中国国産メーカー3社に次いで第4位と、国外メーカーではトップに立ち、それまで国外メーカーでは1位だったパナソニックを追い抜いている。

 中国の炊飯器事情について、上海で日本料理店を持つ日本人経営者はこう説明する。

「これまで中国人は、料理の味にはこだわっても、主食であるコメの味や炊き方には無頓着でした。しかし最近は、経済的に豊かになってコメの味にこだわる人も増えてきて、高性能でおいしくご飯が炊ける日本製炊飯器を買い求めるようになっていました。それが日本での炊飯器の爆買いにつながっていたのですが、そこに韓国製品が二匹目のドジョウを狙って中国市場に割って入ってきたというわけです」

 韓国製炊飯器の販売台数が増えてきた背景には、韓国メーカーが取ってきた高性能・高価格路線があるという。クック電子の関係者によると、中国でのブランドイメージを確立するために、高級製品を充実させ中国語の音声案内が出る新製品を投入するなど、中国の需要に合った製品を出していく現地化戦略を取っているという。

 日本の電気炊飯器といえば、中国からの旅行者が家電量販店で爆買いしていく人気商品のひとつ。13億人もの人口を持つ中国は世界最大のコメ消費国で、アメリカ農務省が発表したデータによると、世界中のコメの約30%が中国で消費されているという。ちなみに、日本は約2%と、意外と少ない。つまり、そのコメを炊く電気炊飯器においても、中国は世界最大の市場だ。

 大韓貿易投資振興公社が今回発表したデータは、韓国の輸出額が1479万ドルという細かい数値を出しているのに対して、日本の輸出額は1500万ドル(1479万ドル+21万ドル)と大雑把であることから、その数値の正確性には疑問が残るが、いずれにしても、ここで韓国製品に後れを取ってしまってはサムソンに敗れた携帯電話の二の舞いになりかねない。

 中国人民元の対外レートが下落傾向にあり、今後は中国人旅行者の爆買いを当てにしていられない状況にある。日本の炊飯器メーカーには、さらなる企業努力を期待したい。
(取材・文=佐久間賢三)

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