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有馬賢治「今さら聞けないマーケティング 基礎の基礎講座」

なぜ一発屋芸人はすぐ消え、アップルの新製品は必ず売れるのか?マーケ戦略より考察

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio
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――確かに大人向けの製品には大御所の俳優や女優、10代向けならばアイドルを使うという手法はお馴染みですね。

有馬 そうですね。こうしてポジショニングと差別化がはっきりすると、顧客に向けてのメッセージが明確なものになります。すると、それに共感した熱心なファンが生まれる可能性がでてきます。今ならアップルの製品などがそうですね。高価格帯でも新製品の発売ともなれば、発売日以前からアップル・ストアには毎回長蛇の列ができます。

 こういった現象は、製品に限らずサービス財でも同じようなことがいえます。サービス財での端的な事例としては、アイドルが最もわかりやすいでしょう。現代はご当地アイドル、地下アイドルなど無数にアイドルが存在し、ちょっとやそっとじゃ埋もれてしまう時代です。しかし、そのような中でポジショニングと差別化をはっきりさせて人気を得ているユニットがあります。BABYMETALは、アイドルにメタルの要素を組み合わせたことで他のアイドルとの差別化に成功し、独自のポジションを築いて話題となりました。この例からもタレントなどにもポジショニングや差別化というのが非常に大切だということがわかります。

――いわゆる“一発屋芸人”にも、ポジショニングはあてはまるのでしょうか?

有馬 はい。しかし、製品の場合は同じポジションで売り続けることで消費者に安心感が生まれてリピーターが生まれる可能性はありますが、サービス財、特に芸能の分野だと同じ芸で人気を長続きさせることは難しいです。人というのは、同じ刺激を与えられ続けると飽きてしまいます。これを心理学では「心的飽和」といいますが、芸人が受けている芸があるからといって同じ芸を繰り返していると、何度も同じ芸を見せられている観客からは飽きられてしまいます。

 その結果、その芸人がテレビからいつのまにか消えてしまうという現象を私たちはよく目にしています。多くのサービス財では、消費者から新鮮さを常に求められるという側面がありますから、持ち味と新鮮さの両立が必要になります。芸人の一発芸などは、あるタイミングでは差別化ができても、そのポジションに安住してしまうと長続きができないという特徴があります。持ち味を生かしつつもポジションを進化させるという工夫が求められているという点が、芸能の世界の難しいところですね。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio)

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