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桃田健史「クルマ“周辺”」

グーグル、クルマの完全自動&無人運転で世界を主導…他メーカーらと根本的違い

文=桃田健史/ジャーナリスト
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 それは、自動運転が最近いきなり「ブーム」になったからだ。自動車メーカーとしては、スバル(富士重工業)の「ぶつからないクルマ」に代表されるような、高度な運転補助を「徐々にレベルアップさせていこう」と考えていた。その延長上で、「完全自動化も考えられるかもしれない」という程度だった。2000年代中盤に米国で、それを追うように中国で00年代後半から、政府が主催する自動運転コンテストが行われるようになってからも、自動車メーカーは自動運転の量産化に本気になっていなかった。

 ところが、13年に「ゲームチェンジャー(競争のルールを変える存在)」が突然出現した。それがグーグルである。

 米アリゾナ州に対するロビー活動を続けて、ついに自動運転車の公道走行を実現させた。その後、公道試験の舞台をカリフォルニア州に移し、使用する車両も第2世代プリウス(トヨタ)からレクサスRX、さらに小型2人乗りEVへと進化させた。それと同時にワシントンDCでのロビー活動を活発化させ、これに議会がこたえ、米運輸省が「自動運転の早期実現」をアピールするようになったのだ。

 こうした流れに、GMを主体とする米自動車メーカー、さらには米国を「ドル箱」としている独自動車メーカーたちが同調した。つまり、現在の自動運転ブームの主語は「グーグル」なのだ。

他メーカーと根本的に異なる発想

 では、グーグルの狙いは何か。同社はトヨタやテスラモーターズのような自動車メーカーになりたいと思っているのだろうか。

 グーグルの狙いは、クルマを通じて人々の行動に関するビッグデータを収集することだ。そのために、アンドロイドフォンと車載器が連携するアンドロイドオートを発案し、さらに車載器OSのアンドロイド化を推し進めている。こうして、グーグルのクルマは「大きなスマホ」になっていく。そうした一連の動きのなかに、自動運転も組み込まれているにすぎない。

 さらに細かくいえば、グーグルが目指しているのは自動運転ではなく、無人運転(ドライバーレス)である。自動車メーカーが徐々に自動運転を目指すという考え方とは、根本的に違う。

 こうしたグーグルが「主語」である自動・無人運転の流れは当面続くのか。それとも16年に新たなるゲームチェンジャーが現れるのだろうか。完全自動運転、および無人運転の本格的な普及に向けて、業界の競争図式はまだまだ変化しそうな気配がある。
(文=桃田健史/ジャーナリスト)

桃田健史/ジャーナリスト

桃田健史/ジャーナリスト

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。
ジャーナリスト 桃田健史 オフィシャルサイト

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