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SMAP謝罪、ジャニーズ事務所批判は法的に間違い?「売れたから独立」は許されない?

文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役・弁護士

この謝罪をもって「退職妨害」は筋違い

 こういった前提を基に考えると、山岸氏は今回の謝罪騒動は「双方の意見が一致したにすぎない」と語る。

ジャニーズ事務所側は『いろいろ考えた結果、今後もSMAPにタレント業務を依頼し続けたい』と考え、SMAP側は『いろいろ考えた結果、今後もジャニーズ事務所にマネジメントを依頼し続けたい』と考え、その双方の意見が一致したにすぎない、と考えられます。

『事務所から独立しようとしていたメンバーが一転、<残留してSMAPを続けます>と謝罪したこと』を、『雇用契約関係にある会社から退職しようとしていた従業員が一転、<会社に残る>と謝罪したこと』と同じように考え、その間に『退職妨害』があったかのように考えるのは、問題の質が違うといえるのではないでしょうか。

 そもそも、ジャニーズに限らず芸能事務所はSMAPなどの芸能人を世に売り出すまで、一定のコンセプトに基づいてメンバーを選定し、ダンスや歌唱力を鍛え、営業活動を行い、彼らの知名度を上げ……といった『事前の投資』を行ってきたわけです。そのため、『売れたので独立します』というのは、『会社で仕事のやり方や儲け方を学んだので独立します』とは異なり、相当程度制約されるものであると考えるべきでしょう。

 したがって、『ジャニーズからの独立に圧力をかけられたこと』をもって『妨害』とするのは、いささか実態軽視の感が否めません。また、今回の謝罪自体も、SMAPが国民的アイドルグループであり、事実としてファンをはじめ多くの方々に『心配をかけた』のであれば、彼らの影響力を考慮して謝罪を放送するのもまっとうなことであり、それをもって『パワハラ的』と捉えるのも、やや方向性が異なると感じます」(同)

 最後に、山岸氏は「なお、過去の裁判例には芸能人の『労働者性』を認め、退職することの自由を認めたものもあるため、ケースごとに慎重な考えや判断が必要です」と補足する。

 芸能人は一般の「労働者」とは異なるため、今回の謝罪をもってして「パワハラ」「ブラック企業」と批判するのは、的を射ているとは言いがたいようだ。しかしながら、異例の謝罪劇は、それだけSMAPの影響力が大きく、多くのファンに心配をかけたことが、事実として世間に受け止められていることの証左だろう。今回は見られなかった、ファンに向けた、紋切り型の言葉ではないコメントが待ち望まれるところだ。
(文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役・弁護士)

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