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星野達也『文系お父さんのための、テクノロジー講座』

JINS、また常識破りのメガネ発売…心と体の動きを察知し、行動改善や病気予防もたらす

文=星野達也/ナインシグマ・ジャパン取締役 ヴァイスプレジデント
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最大の欠点を強みに転換

 この発想のユニークな点は、常に体に接触していて「わずらわしい」というメガネの最大の欠点を、見事に強みに変えた点にあると考える。

 これまでも、人間の状態をモニターして、いろいろなことに役立てようという動きはあった。たとえば、運転手の眠気を早期に察知して交通事故をなくそうというのが、その最たる例である。そんなときに常にネックとなるのが、被験者に負担をかけずにどのようにしてセンシングするかということだった。センサーを装着するという行為が必要となると、それだけで実用性が遠のくのだ。

 そこで、人が自然に身に着けている腕時計やアクセサリーにセンサーを付けるという発想に結びつくわけである。アップルウォッチなどはわかりやすい例だ。ジェイアイエヌが、それをメガネを使ってやってのけたのである。

 しかも、センサー、バッテリーをはじめとする要素技術を、メガネというサイズ・重量にパッケージ化するという難題を、オムロンや自動車部品メーカーのデンソーなどと連携してスピーディに実現しているし、そのコンセプトづくりやアルゴリズム開発を大学との共同開発で実現している。あの「脳トレ」ブームの火付け役として知られる東北大学の川島隆太教授も、開発には深く携わっているという。

 つまり、発想のおもしろさもさることながら、製品化に関して積極的に社外の知見を活用してスピーディに実現したことも、ジェイアイエヌのフットワークの軽さを物語る。

 なお、人間は、うなずく、見つめる、目をそらすといった、無意識的な動作で感情を表面に出している。それらの動作を精緻に読み解くことで、自分でも気づかなかった正直な気持ちを可視化できるかもしれない。そうなれば、メガネがつなぐ恋愛などにも発展するかもしれないのだ。

 群馬県で設立され、2001年には1店舗しかなかったメガネ店を、わずか15年後に350店舗を運営するまでに急成長させたその勢いもすごいが、単なるメガネだけでなく、メガネに新しい付加価値を付けながら市場を拡大したその戦略も注目に値する。今後、ジェイアイエヌがどのような打ち手を繰り出してくるのか、まさに目が離せない。
(文=星野達也/ナインシグマ・ジャパン取締役 ヴァイスプレジデント)

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