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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

韓国、米国から「同盟国として不要」と最後通告…米国の言いなり外交、米中は準戦争状態

文=渡邉哲也/経済評論家
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日中韓首脳会談の裏側

 それは、終末高高度防衛(THAAD)ミサイルの導入である。これは、大陸間弾道ミサイルや中距離弾道ミサイルが北朝鮮や中国から発射された場合、初期段階で迎撃するミサイルだ。あるいは、完全に迎撃することはできなくても、その分析などができるシステムである。

 アメリカが韓国にTHAADミサイル導入を求めたのはなぜか。それは、韓国のみならず東アジア全体の安全保障につながるからである。しかし、アメリカの要求に対して、韓国はなかなか最終的に首を縦に振らなかった。

 そして、13年2月に朴槿恵政権が誕生し、再びこの統制権の問題がクローズアップされることになった。就任直後、朴大統領はアメリカを訪問し、「統制権の返還をさらに延期してほしい」とお願いした。それに対し、アメリカは再びTHAADミサイル導入の話を持ち出した。いわば、「アメリカと中国のどちら側につくのか」と迫ったわけである。

 しかし、中国の顔色を見ている韓国は合意しない。13年12月には、アメリカのジョー・バイデン副大統領が訪韓の際に「アメリカはずっと韓国にベッティングする」「韓国はアメリカの反対側にベッティングするのはよくない」と釘を刺す事態に至った。

 そして、15年10月に行われた米韓首脳会談においても、アメリカの高官たちは「これ以上、韓国が中国に接近するのであれば、もはや同盟国として必要ないのでは」という旨の発言を行った。

 また、同年11月には韓国のソウルで日中韓首脳会談が行われたが、この会談をセッティングしたのは実はアメリカであり、アシュトン・カーター国防長官がオブザーバー的存在として現地に足を運んでいた。

 同会談では「北東アジアの平和と協力のための共同宣言」が出されたが、3国の合意により、その詳細は非公開とされた。しかし、その名称を見ればわかるように、具体的な中身はアジアの安全保障に関するものであることが明らかだ。

 さらに、同月に行われた拡大ASEAN国防相会議においても、アメリカは韓国に対して「米中のどちらを選ぶのか」と強く求め、韓国はついに「アメリカを支援する」と述べざるを得なかった。同会議の前にも、韓国はカーター国防長官に批判されたことを受け、ついに中国の南シナ海侵攻について批判の声明を出さざるを得ない状況に置かれている。

 なぜなら、その前の10月下旬、アメリカは南シナ海において「航行の自由」作戦を開始し、南シナ海の安全を守る行動に出たからである。

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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