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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

がん、抗がん剤や手術が寿命を縮める? 「何も治療しない」が正しい場合も?

文=新見正則/医学博士、医師
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 そこで、非常識君のようにがんを放置した場合は、その後どうなったかという結果を社会で共有する必要があるのです。がんの患者さんのなかには、無治療で予想外に長く生きる方もいます。そんな希な症例が、実は奇跡的に少ない数字なのか、それとも結構な頻度で起こっていることなのかも実はわかっていないからです。将来的にがんの転移の時期が予想できるほどサイエンスが進歩すれば、非常識君が主張するような立ち位置も有効な選択肢のひとつになります。

 一方で、がんが相当進行して手術をしても、また抗がん剤治療をしても手遅れだと感じられることもあります。そんなときに「他に治療がないから」という理由で手術や抗がん剤治療をあえて行うことは間違っています。せっかく残った命を縮めてしまうからです。何も治療しないことが、実はがんをたくさん治療している施設では常識だということもあり得ます。であれば、非常識君の意見は正しいということになります。

 結局は、今回も常識君の意見に集約されます。基本は西洋医学的治療で公に認められているものに頼りましょう。そして、補完医療として漢方治療を選択することには大賛成です。また、明らかに有効な治療がないときや、まだがんと確定診断がつかない段階などでは、無治療という選択肢もあり得るのです。
(文=新見正則/医学博士、医師)

●新見正則(にいみ・まさのり)
1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993年~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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