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安達裕哉「仕事ができるやつになる最短の道」

救いようもないダメ社員が、なぜたった数年で仕事のデキる社員になれたのか?

文=安達裕哉/経営・人事・ITコンサルタント
救いようもないダメ社員が、なぜたった数年で仕事のデキる社員になれたのか?の画像1「Thinkstock」より

 ある会社の新入社員は、実はもともと志望していた会社に入れず、希望していた業界でもなかったため、入社当初は落ち込んでいた。だが彼は思い直し、「仕事があるだけ良かった」と気持ちを切り替えて、入社できた会社でがんばることにした。

 最初、彼はほかの社員に挨拶ができず、先輩に叱られた。そこで「挨拶だけでもがんばろう」と、挨拶してみると、皆が挨拶を返してくれた。人間関係が少し良くなったように感じた。

「電話番は新人の仕事」と命じられていたが、最初の1週間は会社にかかってくる電話を取れず、先輩に叱られた。そこで彼は電話応対の方法を教えてもらい、積極的に電話を取るようにした。慣れてくると、電話は恐くなくなった。

0629_sinkanjp.jpg『仕事ができるやつになる最短の道』(安達裕哉/日本実業出版社)

 最初の半月、彼は日報を書くのがへただった。日報だけではなく、そもそも文章を書くことが苦手だった。そこで彼は上司に頼み、日報について毎日感想をもらうようにして、次の日から改善するようにした。その結果、彼は日報を書くのに苦労しなくなり、文章力も少しずつ向上した。

 最初の1カ月、彼はエクセルが苦手だった。依頼された資料をつくるのに、ほかの人に比べてかなりの時間がかかっていた。「お前は仕事が遅い」と先輩に言われ、悔しくなった彼は先輩に頼み、積極的にエクセルの仕事を引き受けるようにした。大事な仕事は渡してもらえなかったが、雑用的な仕事を多く引き受け、エクセルを覚えるために参考書を買い、わからないところは自分で調べた。いつの間にか彼はエクセルが得意になっていた。

 最初の3カ月、彼は仕事をよく忘れ、先輩にこっぴどく何度も叱られた。「仕事の指示を受けるときにはメモをとるように」と指示されたので、彼は手帳を買って積極的にメモをとるようにした。それ以来、彼は仕事を忘れなくなった。

 最初の半年、彼はよく頼まれた仕事の納期に遅延した。仕事を依頼されたとき、納期を確認していなかったのだ。先輩にたびたび叱られた。そこで、先輩がちょっとした頼みごとをしてきたときも必ず、「いつまでにやればいいですか?」と聞くようにした。時には、自分から「1週間後でいいですか?」と期限を聞くようになった。

仕事の評価が高まり始める

 また、彼はタスク管理をすることにした。具体的には、難しそうな仕事は早めに手を付け、万が一のことがあっても余裕を持って対処できるようにした。その結果、納期遅延はなくなり、「あれ、まだ終わってないの?」などとは言われなくなった。

 最初の1年、彼の仕事のクオリティはお世辞にも高いものではなかった。彼は困った時、周りの人に相談するのが苦手だったからだ。そこで彼は相談内容をいったん文書にまとめてから、不安なときは積極的に聞きに行くようにした。仕事は依頼者の満足のいくクオリティとなることが徐々に多くなった。

 最初の3年、彼は上司の考えていることがよくわからなかった。「上司は理不尽なことばかり言ってくる」と不満に思っていた。そこで彼は「上司のことをもっとよく知らなくてはいけない」と考え、上司と共にランチを取り、飲みに行き、考えていることを理解しようとした。少しずつ、彼は上司の発言や態度から考えを理解できるようになった。副次的な効果として、顧客の考えていることもわかるようになった。

 彼はまた、顧客に気に入られることが苦手だった。口ベタで、気が利かなかったからだ。そこで、高い評価を受けている先輩に同行させてもらい、一生懸命会話を学んで真似た。時には失敗もあったが、徐々に緊張しなくなり、気の利いたことも言えるようになった。顧客の話に耳を傾け、できるだけ顧客の個性や思想を理解しようとした。その結果、顧客からの評価は徐々に高まっていった。

 最初の5年、彼はプロジェクトでの共同作業が苦手だった。相手が分担を忘れたり、こちらと相手の認識が違っていて、思った通りの仕事をこなしてくれなかったからだ。そこで彼は、きっちりと議事録を取るようにし、打ち合わせの後、必ずそれを相互確認するようにした。また、2回目以降の打ち合わせの冒頭では、必ず前回の宿題の確認をするようにした。

 また、早めに顧客の意図、社内の意図を汲み、タスク管理を行い、納期順守と品質管理に力を尽くした。段々と、彼は人と働くのが苦にならなくなった。

 彼は改善提案活動が苦手だった。部署全体のため、会社全体のために何を提案すべきか、さっぱりわからなかったからだ。

 そこで過去の提案活動を調べ、何が採用されて何が採用されなかったかを分析した。さらに他社の事例などを人に聞き、自分のノートに書き留めた。手帳を持ち歩き、現場で気づいたことはすぐにメモを取った。それを続けるうち、彼は改善提案活動が得意になった。

 彼はアイデアを出すのが苦手だった。卓越したアイデアを出すためには知識が足りないと認識し、通勤電車の中でたくさん本を読むようにした。好きだったゲームをやめ、寸暇を惜しんで本を読んだ。彼の出すアイデアは、徐々に良いものになっていった。

 彼は後輩の指導が苦手だった。相手が何を考えているのか、よくわからない上に、こちらを不愉快にさせるような言動が多かったからだ。そこで彼は、後輩のニーズを汲み取るために話をよく聞き、後輩の求めていることをできるだけ提供した。また、後輩が困っているときは積極的に声をかけて悩みを解消するよう務めた。彼は後輩から信頼されるようになった。

 彼はいつの間にか、仕事ができるようになっていた。
(文=安達裕哉/経営・人事・ITコンサルタント)

安達裕哉

安達裕哉

経営・人事・ITコンサルタント。ティネクト株式会社代表取締役。世界4大会計事務所のひとつである、Deloitteに入社し、12年間経営コンサルティングに従事する。1000社以上の大企業、中小企業にIT・人事のアドバイザリーサービスを提供し、8000人以上のビジネスパーソンに会う。自身の運営するブログ「Books&Apps」は月間PV数150万以上。


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