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伊藤忠、盟主・三菱商事を屈服させた「傍流の天才社長」…敵意むき出しの緻密経営

文=編集部
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「CITIC(中国中信集団)への巨額出資を決め、具体的な提携内容を協議中。CP(チャロン・ポカパン)、CITIC(との提携のほか)、今秋には伊藤忠が筆頭株主のファミリーマート、ユニーグループ・ホールディングスの経営統合を控えている。こうした経営課題だけは自分の代でメドをつけなければならないので、しばらく社長を続ける」

 続投のメッセージは広報部長から口頭でマスコミに伝えられた。読売新聞は「上場企業が社長の続投を発表するのは異例」と報じた。昨年末に三菱がいち早く社長交代を発表していたことから、伊藤忠はどうなるのかと取材が過熱した。全国紙の商社担当の経済記者は、「続投」と知ってホッとした表情を見せた。ナンバー1商社のトップ交代は、今や経済界の大きな事件なのである。

 この岡藤氏の発言にも、周到なメッセージが込められている。伊藤忠は6年周期で社長が代わっており、セオリー通りなら本命は福田祐士代表取締役兼専務執行役員エネルギー・化学品カンパニープレジデント兼CP・CITIC戦略室長だった。CPはタイの華人財閥で、CITICは中国最大の国有複合企業だ。伊藤忠はCITICに6000億円を投下しており、CPの投資を肩代わりした分を加えると1兆2000億円の巨額投資だ。伊藤忠の命運を握るビッグプロジェクトであり、福田氏に対する岡藤氏の信認は厚いといわれている。

 岡藤氏の続投の期間は2年。この間に利益首位の座を不動なものにするつもりだ。現在の中期経営計画が終了する時期とも重なる。もし、2年で利益首位の座が安泰にならなければ最長4年、つまり社長在任10年もあり得る。伊藤忠では、かつて10年社長を務めた例もあるので、可能性はゼロではない。

 続投なら“ポスト岡藤”の顔ぶれは大きく変わり、米倉英一常務執行役員(4月1日付で専務執行役員に昇格)が最有力候補になる。米倉氏は、4代目社長で昨年末亡くなった米倉功氏の長男。現在の役割は金属カンパニープレジデントで、4月以降も続投する。功氏は1986年度に伊藤忠を取扱高(売り上げ)第1位に押し上げた功労者である。英一氏は理詰めの人といわれている。商人精神の発露と動物的なカンの冴えで伊藤忠を躍進させた岡藤氏は、今後、米倉氏を千尋の谷から突き落とし、経営トップにふさわしいかどうかを厳しく吟味することになろう。

 仮に2年続投であれば、岡本均代表取締役専務執行役員・CS0(最高戦略責任者)・CIO(最高情報責任者)や4月1日付でアジア・大洋州総支配人兼CP・CITIC管掌兼伊藤忠シンガポール会社社長になる福田氏にも可能性が残る。現在専務執行役員で、伊藤忠インターナショナル社長兼CEOになる吉田朋史氏も同様である。米倉氏を含めて3~4人、場合によっては新規参入組が加わって5~6人でポスト岡藤の椅子を争うことになる。

BusinessJournal編集部

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