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日銀だけでなく政府も一丸となるべき
そもそも年初からの世界的な株安や金融資本市場の混乱の主因は、統計が出鱈目で深刻さの程度すらはっきりしない中国経済への不信感と、原油を中心とした資源価格の低迷に伴う資源国経済のダメージに対する懸念である。
それらを解消するためには、中国当局の統計整備や抜本的な経済改革、中国が通貨不安の震源にならないための国際協調策の構築などが避けて通れない。しかし、中国の当局関係者たちは、ダボス会議の様々なセッションで、一連の市場の混乱を「混乱」と認めず、単なる「調整(アジャストメント)」と強弁して事態を矮小化する姿勢に終始し、出席者たちを閉口させたという。
黒田総裁自身は先の記者会見で、原則論であり、特定国を念頭に置いたものではないと断ったうえで、「(ダボス会議で)為替相場の安定性を維持しながら必要な金融政策を進めるためには、資本規制を行うことに一定の合理性がある」と訴えたこと、金融危機の際に米ドルなどを相互に融通し合う通貨交換協定の復活について「現在、中国との間で対話を行っている」ことを認めたという。
せっかく黒田バズーカ3で貴重な時間を稼いだのだから、記者会見で明らかにした施策を含め、日銀だけでなく政府も一丸となって、G20やG7諸国を動かしながら中国に対応するよう圧力をかけていくことが肝要である。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)