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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

「安くなくなった」ユニクロに厳しい現実…失った「客の納得感」をどう取り戻す?

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio
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「それは製品ポジショニングの不明瞭化です。値上げによって実質的に競合するブランドが変化しても、ブランドイメージが同時に上がっていくわけではありません。ユニクロの例でいうと、以前の競合相手は、『しまむら』や『ハニーズ』などでしたが、高価格化で『J.CREW』や『UNITED ARROWS』などに変わってきました。ユニクロが、価格に見合った品質の商品を提供していても、もともと顧客に持たれている“安物”というイメージの払拭まではできていません。現状は、どっちつかずの不明瞭なポジショニングになってしまっていると思われます」(同)

 では、ブランドイメージのポジショニングも一緒に変えられた前例はあるのだろうか。

「ブランドイメージは、高いところから低くはなりますが、その逆は困難です。ただし、新しく看板を立てる、つまり別ブランドや別会社を立ち上げることで、従来のイメージにとらわれない商品展開をすれば、イメージチェンジは可能です。化粧品では資生堂が『IPSA』を、自動車ではトヨタ自動車が『LEXUS』を設立したように、高価格帯の商品を展開するために別のブランドや会社を立てて成功した例は、国内外にあります」(同)

 ファストリは「GU」という低価格帯の店舗も展開しているが、高価格帯でも新ブランドを立ち上げることが有効だということだ。

「高価格帯のブランドを展開するのであれば、店内の商品陳列方法やサービスも変えていかなくてはいけないでしょう。現状でもユニクロは非常に清潔ですし、内装も高級感を出す努力をしています。しかし、商品は棚いっぱいに積み上げられていて、店員のサービスは商品の場所を案内する程度です。『LEXUS』では、販売員にしっかりとした研修を受けさせて、ホスピタリティ、要するに“おもてなし”の仕方を徹底的に教え込みます。そういった働く人と店舗、双方に対する高級感の演出が、高いものを顧客に納得して買ってもらうための舞台装置となるわけです」

「ただ値段が上がっただけ」では、特にアパレルなどの分野の場合、消費者を納得させるのは至難の業。そのためにも、別ブランドなどでイメージを変えた上で、それに見合った品質やサービスを提供することが、不振のファストリが現状を打破できる、数少ない方法のひとつなのかもしれない。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio)

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