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JRがSuicaのデータを無断で販売、スーパーが妊娠を察知…利用される個人情報

文=井手秀樹/慶應義塾大学名誉教授
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 IoTやビッグデータの利活用が、各種ビジネスの発展に不可欠であるが、一方で利活用の壁となるのが、「通信の秘密」と「プライバシー・個人情報保護」である。通信の秘密に関する情報でも、一定の範囲で利活用が進められている。たとえば、携帯電話の位置情報を警察の捜査活動等に利用することや、ウェブサイトの閲覧・購買履歴に基づいた行動ターゲティング広告への利用などである。

 また、スマートメーターは、単に電力節約のみならず、自治体による孤独死問題にも利用することができる。電力の利用状況を注視しておけば、迅速な救済につながるわけだ。他方でスマートメーターは悪用される可能性もある。電力データにより、就寝時間や留守もわかる。実際、米国では電力データが読み取られ、空き巣などの犯罪も報告されている。リアルタイムに送信される電力データから個人や家庭の生活リズムまで明らかとなり、プライバシー侵害のリスクが生じる。

 縁もゆかりもない他人が通信システムへの不正侵入等によりネットワーク上の情報を取得する機会は、物理的に増大している。ベネッセコーポレーションの個人情報漏えい事件などにみられるように、消費者がプライバシーへの漠然とした不安感を抱いているなかで、ビッグデータの利活用と個人情報の保護の適正なバランスが重要である。
(文=井手秀樹/慶應義塾大学名誉教授)

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