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いよいよ、今年のJRA・G1がスタートする。
年間22あるG1シリーズの開幕戦となる第33回フェブラリーS(G1)(21日、東京、ダート1600m)が、いよいよ今週末に迫ってきた。ダート路線の王者を決める重要な一戦で、まず注目したいのが、武豊が騎乗し3連覇の懸かる逃げ馬コパノリッキーだろう。
昨秋はJBCクラシックでG1通算5勝目を飾ったが、1番人気に推されたチャンピオンズC(G1)で7着に敗退。年末の東京大賞典も4着と奮わなかった。
だが、よりスピードが重視されるフェブラリーSとなれば軽視は禁物。武豊の絶妙なペース配分はもちろん、同一G1の3連覇はJRA史上初の記録となるため、陣営もここは全力で獲りに来るはずだ。
しかし、世代交代を虎視眈々と狙っている4歳勢は、極めてハイレベルだ。
その筆頭が、昨年のチャンピオンズCで2着したノンコノユメ。東京ダート1600mは重賞2勝を含む5戦4勝。持ち味の長い末脚が生きるこの舞台とは、まさに抜群の相性を誇る。事前予想ではこちらが1番人気の評価を受けており、コパノリッキーにとって最大のライバルとなることは間違いないだろう。
そして、不気味なのは女傑ホワイトフーガだ。昨秋のJBCレディスクラシックでは、後に牡馬を蹴散らしてチャンピオンズCを勝ったサンビスタに5馬身差の圧勝。牡馬の一線級と戦うのは初めてだが、昨年の結果を踏まえれば牝馬といえ軽視はできない。
ただ、実はこのフェブラリーS。昨年は“談合疑惑”が持ち上がった曰く付きのレースでもある。
冒頭でも述べた通り、昨年このレースを制したのは武豊騎乗のコパノリッキー。ただ、この勝利はただのG1制覇だけでなく、競馬界の中心ともいえる武豊の「28年連続G1勝利」という空前絶後の記録の継続を確定させた勝利でもあったのだ。
武豊のデビュー2年目となる1988年から続いている不滅の大記録。武豊の連続G1勝利記録は、言い換えれば「近代競馬の歴史そのもの」といっても過言ではない。
ただ、全盛期の武豊ならば“何もせず”とも、自然に記録は伸びていったはずだ。しかし、落馬事故の影響や大物馬主との疎遠などで、かつての輝きが見る影もなくなってしまってからは、そうもいっていられなくなった。
2014年など、中央競馬のG1に挑むどころか騎乗することすら難しくなり、メンバーの手薄な地方競馬のG1で辛うじて連続記録を存続させている有様……まさに、風前の灯火といった状況だった。
そこで立ち上がったのが、これまで武に可愛がられてきた複数の若手の騎手だ。
2015年の最初のG1フェブラリーSで、ましてや1番人気が確実だったコパノリッキーに武豊が騎乗するなど記録存続に「またとないチャンス」と思ったのは、決して武豊本人だけではなかったということか。
当時からコパノリッキーは「自分のリズムで走ることができれば一番強い」というのが関係者の共通認識だった。実際に数々のG1を制している一方で、リズムを欠いて大敗するといったケースも目立っていた。
ならば、フェブラリーSではコパノリッキーが、リズムよく走れるようにしてやれば良いということだ――。
そんな“談合”といわれても仕方がない“お達し”が出た後、「おかしい」と声を荒げた某関東の若手騎手の叫びは届かず、コパノリッキーのライバルになりそうな馬たちは皆、借りてきた猫のような大人しい競馬に徹したという話だ。
かくして、昨年のフェブラリーSは武豊の“あまりにも鮮やかすぎる手綱さばき”でコパノリッキーが完勝。前人未踏の28年連続G1制覇という大記録は無事守られたのだった。
あれから一年。今年もJRA最初のG1がやってきた。
今年に入って早くも重賞勝利を達成し、コパノリッキーやエイシンヒカリなどお手馬の充実も見られる武豊。ならば、余計な“気遣い”なしでも記録を伸ばしそうなものだが……。
週末のフェブラリーSは単純な結果だけではなく、その“内情”にも大きく注目したいところだ。